コケのようでコケでない植物

地衣類
地衣類は菌類と藻類が共生したものです.地衣体の断面を見ると,藻類の層と菌類の層をはっきりと確認することができます.菌類は藻類に住み家と安定した水分を与え,藻類は光合成をおこなって菌類に養分を与えています.見た目の形で,葉状地衣類,樹状地衣類,固着地衣類の三つのグループに大きく分けられます.
葉状地衣類.アツバヨロイゴケ. 樹状地衣類.ウグイスゴケ.
葉状地衣類は,樹皮や岩石などの着生基物に,葉のように広がって生育します.大きいものでは直径30 cm以上になるものもあります.
樹状地衣類は,左の写真のように着生基物から立ち上がって生育するものや,垂れ下がって生育するものがあります.サルオガセの仲間では,長さ1 mに達するものが知られています.
固着地衣類.チズゴケ.
固着地衣類は,樹皮や岩石に密着して生育します.中には菌糸が硬い岩の中に入り込むものもあります.写真は高山帯の岩の上に生育するチズゴケという地衣類です.岩の上にまるで地図のような模様を作ります.

このほか,道端の石垣やガードレールの上などに着生する種もあります.地衣類は,私たちの身の回りから過酷な環境にいたるまで様々な環境に生育しています.

地衣体の断面.地衣体は層状構造をとり,菌類の層と藻類の層からできています.上皮層と下皮層も菌類の菌糸でできています.(写真は高知大学理学部岡本達也氏の提供)

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藻類
〜鮎が食べるコケ〜

鮎はコケを食べると言われています.この「コケ」と言われているものも,実は藻類の仲間です.鮎は川の中の転石に付着している珪藻類や藍藻類を食べています.

左.コケのように見えますが,コケ植物ではありません.これは,スミレモと呼ばれる緑藻類の仲間です.スギやヒノキなどの樹皮に着生し,木の幹をカーペットのように覆います.藻類は,水中に生育するものだけでなく,陸上に生育するものもあります.スミレモのように陸上に生育する藻類のことを「気生藻類」と呼んでいます.

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