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ヤマガラ 
(シジュウカラ科)

ヤマガラ (シジュウカラ科)

 宮島を代表する野鳥はヤマガラです。カラ類の仲間で、人によくなれる小鳥で、昔は、おみくじ引きの芸などをする小鳥として知られていました。その他、カラ類には、シジュウカラ・ヒガラ・コガラの4種がよく知られています。人家近くの林に棲むシジュウカラは、日本全国どこにでも見られる普通種ですがヤマガラは、低山の森林中で生活していて、一般には、人家近くで見られないのですが、宮島は、全島が、松を主体にした雑木林で、生活環境が良く、弥山山頂から、海岸の松林にまで生息していて、個体数も多く、広島県内でもヤマガラの有数な生息地となっています。
 ヤマガラは、留鳥で、一年中宮島に生息していて、繁殖も多く見られます。子育ては早くから始めます。2月も中旬になると「ツツピー、ツツピー」とか「チーピー、チーピー」とよく通る声でさえずり始め、3月にはもう巣作りに入ります。巣は、巣箱や樹洞を利用し、多量の苔を敷きつめ、産座にはシカの毛や、羽毛を使用します。巣が完成すると、1日に1個ずつ産卵し、5〜6個産卵すると抱卵に入ります。ふ化すると、巣立ちまでの15〜16日間、親鳥は、毎日、毎日、餌運びして育てます。1巣で巣立つまでに親が餌を運ぶ回数は4000回にも達すると言われています。しかし、巣立ったヒナが全部親鳥になれるわけではなく、全体の70%くらいが、天敵にやられたり、自然死(餓死)したりして自然界のバランスが保たれています。
留鳥で島全域に生息、繁殖も多く、民家近くから山頂近くまで見られ、巣箱もよく利用する、人慣れもし、良い声で囀るので、宮島町のシンボルバードにもなっている。

(厳島の鳥を知る会 熊谷 美登/写真撮影 熊谷 美登)


この記事は1986年1月の広報みやじまに掲載されたものです