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オオルリ
(ヒタキ科)


オオルリ (ヒタキ科)

 夏鳥で、4月上旬から中旬にかけて、桜の散り終わる頃に渡ってくる小鳥です。全長165mmとスズメより少し大きいくらいで、雄はルリ色といわれる光沢のあるブルーで、胸は黒、腹が白の3色でスマートな美しさをしています。
 オオルリは、ウグイス・コマドリと共に日本三鳴鳥の1種でさえずりが非常によいため、餌鳥として密猟の対象にされてきました。現在も心ない人のために少なからず人の手によって捕らえられて害を受けているのがいます。しかし、宮島は鳥獣保護区になっていて、オオルリの生育に適した谷間のある森林が多く残されているため、比較的多くのオオルリが渡ってきて繁殖します。営巣は谷川の岩棚や大木の根方の隙間にコケを多量に使った皿形の巣をつくり産座にはシカの毛を使用します。4月下旬には5〜6個産卵し雌だけで2週間くらい抱卵しふ化させますが、この間、雄は遊んでいるのではなく、木の頂上で大きな声でさえずり、ナワバリを守っているのです。ヒナが生まれると、雄も雌と協力してヒナに餌を運びはじめます。餌はガの幼虫や青虫、クモなどで1日に200回くらいも餌を運ぶ重量道で、巣立ちまでは13日もかかります。巣立ちしても親鳥とすぐに離れることもできないので、後何日かは、親は餌を運びつづけなければならないのです。
 8月から9月になると野鳥の繁殖も終わり、少しずつ低地の公園などにでてきて、餌を多く食べ、体力を付けて秋の渡りにそなえます。オオルリもこのころには体に脂肪をためて雄も雌もこの年生まれの若鳥も南へと去っていきます。


夏鳥、キビタキと並ぶ代表的な種で繁殖も多い、登山道のある谷筋になわばりを持ち、産地や樹の根方、建造物の梁などにも営巣することがある。8月を過ぎると巣立ちしたヒナ共に、公園地で採餌して過ごし、10月中旬に渡去する。

                          (資料提供: 熊谷 美登/写真撮影 熊谷美登)


この記事は1985年6月の広報みやじまに掲載されたものです。