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広島湾の無人島(山口県−保高島 広島県−長島)を訪ねて
広島湾内の無人島に上陸
 5月28日に植物観察会のメンバー4名と宮島自然植物実験所の学生D2・黒田有寿茂君と3年生の濱中紀仁君を同行し山口県岩国市の保高島と、広島県佐伯郡大柿町の長島に上陸することにした。
 今回の目的は、宮島の海岸植物との比較と、人の手の入っていない島には他に何か珍しい植物の発見が有るかも知れない期待とで決行した。
 今回、植物観察会のメンバーである松村雅文さん、上村恭子さん、武内一恵さん、山下容富子さんの総勢7名でまずは保高島に上陸、この島は標高45mと比較的小型の島であり、島全体は、ウラジロガシ、ヤマモモ、ウバメガシ、ヤブニッケイ、カゴノキ、ツブラジイ、シロダモ、ヤブツバキ、ヒサカキ、ヒメユズリハなどの常緑広葉樹林を構成し、海岸にはツルナ、ハマナデシコ、シロザ、ハマダイコン、ハマハタザオ、ホソバハマアカザ、ハマエンドウ、ハマナタマメ、オオバグミ、ボタンボウフウ、ハマゼリ、ハマウド、ハマボッス、ハマヒルガオ、ハマゴウ、ツワブキ、など海岸植物を代表する植物がすべて出現した。宮島では、上記の内ハマゴウとツワブキくらいしか海岸植物では出現しなく、いかにフロラの数が少ないかが分かる。ただこの島にもナンゴクウラシマソウやハスノハカズラが自然に生えていた。
 その後、北風を受けながら船は大柿町の長島に向かい午後2時過ぎに上陸した。長島は広島県内の植物の傾向が強く、特に宮島と似ている傾向にあった。ネジキ、コバノミツバツツジ、シャシャンボ、タイミンタチバナ、イヌビワ、シロダモ、ヒサカキ、モッコク、ザイフリボクなど、また山の中腹にはコシダ、ウラジロ群落と疎林とが多く、常緑広葉樹林はごく限られた部分でみられる。海岸植物は、ツルナ、ハマナデシコ、マンテマ、オカヒジキ、ホコガタアカザ、ハマダイコン、ハマエンドウ、オオバタンキリマメ、コマツヨイグサ、メマツヨイグサ、ハマボッス、ハマヒルガオ、ハマゴウ、ツワブキ等が生えていた。やはり海岸植物を考える場合には、宮島での植物はシカの影響がかなりあり、有毒植物が宮島では繁茂し反面シカの好きな植物は宮島では出現しても希なことが分かる。今回イワタイゲキがどこまであるかと探したが、この両無人島には、発見することは出来なかった。午後3時30分北風が強くなったので長島を引きあげる。 ( 記:向井 誠二)
無人島の風景・植物の写真を見る
                   
ハマヒルガオ(保高島) 山口県 保高島の東側海岸