トップへ戻る 広島大学大学院理学研究科附属宮島自然植物実験所の紹介
所在地 739-0543
広島県廿日市市宮島町三ツ丸子山1156-2外
TEL 0829-44-2025
FAX 0829-40-2001
当植物実験所の利用状況
学生の実習風景
  連絡先 同上 技術専門職員 向井 誠二
smukai@hiroshima-u.ac.jp
施設の特徴  瀬戸内海国立公園宮島の一隅にあって、海岸から山地まで自然植生がよく保たれている。常緑広葉樹を多く伴ったアカマツ二次林であるアカマツクロバイ群集が主体であるが、海岸には塩生植物のナガミノオニシバ群落や砂浜植生のハマゴウ群落もある。海中にはアマモ、コアマモ群落もあるが、内湾のため海藻群落は貧弱である。本実験所には日本や世界各地の標本、とくに、コケ植物標本が多く、約35万点が保管されている。
設備及び研究機器 プロジェクター、顕微鏡、実体鏡、コンピューター7台(LAN接続)、イオンクロマトグラフ、遠心分離器、超純水製造装置、
ポータブル携行測定システム、自動面積計、反射式実体鏡、電子分析天秤、マクロ写真装置他
船舶 小型船舶
面積 114,495 u
宿泊 約20名(部屋数2室)、寝具等の洗濯代、消耗品等の実費を徴収。
食事 なし(自炊による、ただし食器類、冷蔵庫などすべて揃っている。)
交通 JR山陽本線宮島口または広島電鉄宮島下車、連絡船約10分で厳島港着、そこから実験所まで約6kmあるので、徒歩あるいはタクシーが利用できる。
自家用車の場合には、15分で実験所まで来れる。
宮島自然植物実験所の紹介  宮島が本土に最も接近しているところ、対岸の大野町まで300m位しかない、三ツ丸子山の麓に、宮島自然植物実験所がある。ここは、日清戦争当時に砲台が築かれたところであり、現在なお弾薬庫が二つ、兵舎跡、ざん壕跡、貯水池跡などが残っている。大元公園から約4kmにおよぶ観察道路も、当時の「軍用道路」であり、現代風にいえば、この地域は、日本陸軍の「基地」であった。この国有地が、昭和38年11月26日所属替をうけ昭和39年7月10日開園した。昭和40年2月に庁舎と送電線工事が完成した。
 昭和41年4月から、研究員が1名配置されている。本園の目的は、実験所内の自然植生を保護するとともに、自然環境を利用して学術研究および、学生の研究、実習に資することにある。土地面積は114,495平方米(約3万5千坪)で、そのうち約半分が室浜の砲台跡地域,残りの半分が、大元公園から室浜までの道路敷地にあたる。庁舎建物は研究・管理棟360u、実習棟97u、標本保管庫121uであり、実験室、教官室、学生研究室、観察調査室、浴場、水洗便所を備えている。

 公開期間は年中無休であり,来所は随時自由であるが,宿泊して研究する場合は、副所長である助教授 豊原源太郎 か又は文部科学技官 向井誠二の許可を得なければならない。庁舎は、町から遠いので、宿泊の際は食料品を持参することになっている。来園されるには,宮島の大元公園の橋を渡り、西へ約4km行けば本実験所がある。実は、橋を渡った所からすでに本宮島自然植物実験所の起点として200m毎に標柱が路傍にあり、3900mのところに植物園がある。車でも行けるが,徒歩でゆっくりと来られることをお勧めします。
 昭和41年5月に来園された館脇操北人名誉教授は、この道路に差しかかると「これこそ、国立公園だ。」と絶讃された。人も車も少ない絶好の散策コースである。
美しい海岸線と,名札(園内を含め1800枚)のついた植物を観賞し来られれば、宮島桟橋から約1,5時間の道のりもそう長く感じないと思う。
 本実験所の特色は、暖帯の沿岸地に位置していることと国立公園地域であって自然がよく保存されていることである。シイ,ヤブツバキなどの常緑広葉樹で代表される日本列島の暖帯は、日本で最も人口の集中している地域であり、また歴史的にも日本民族発展の中心地域であった。故に、自然が最も破壊された地域であって、現在暖帯林が自然状態で保存されている所はきわめて少ない。よく温帯林と暖帯林が混同されるが、温帯林はブナなどの落葉樹の林で、広島県ならば三段峡のような山地、太平洋岸ならば仙台以北でないと見られない。日本の大学に付置された植物園あるいは実験所の中で、暖帯の自然林内に位置するのは本植物実験所のみである。
 植物実験所という一般概念から,温室でもあって,めずらしい植物が植えてあるように思われる方も多いが,当実験所では「自然林」を保護して、学術研究のために供しているのである。昭和41年9月に来園された,ベルリン植物園のマチック博士は,宮島植物園を世界でも無比の特色ある植物園として、論文中で高く評価しておられる。
 開花や結実などの季節変化を記録したカラースライドは,3,500枚(現在ではデジタル化により)に達している。種子の採取と保存が職員によって行なわれ,学術研究用として,内外の研究者に配布される態勢となっている。園内の自然保護については,当初不法キャンプやたき火バイクの乗り入れなどにより荒れていたが、自然保護のため努力が払われ、現在では、宮島で最も清潔な海岸と自負するに至った。室浜でのキャンプ禁止は効を奏して自然植生が回復し室浜海岸ではハマゴウ群落やイワタイゲキホウロクイチゴ群落等の自然度が保たれている。
本実験所利用希望者の方へ 1.本植物実験所は、教育研究の機関であり、各種小学校、中学校、高等学校、大学(他各大学等を含む)の教官及び学生がこの恵まれた自然環境の中で野外教育の場として利用されること。
2.各種公共機関や公民館活動等の自然観察の場として利用されること。
3.本植物実験所に来園、見学(室浜砲台を含む)、植物、地質、昆虫、野鳥等の自然観察の場として提供。
4.各種ボランチィア活動の一環として利用されること等。