鳥散布

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熟れた柿を食べるヒヨドリ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Feb. 9, 2020)
ヤマモモの実(廿日市市宮島町; 撮影: 向井誠二, Jun. 20, 2001)

鳥散布

  • 鳥散布とは,鳥類によって行われる種子散布のことである.
    • 植物は基本的に個体として移動を行わず,種子が運ばれることによって分布域を拡大させる.
    • 種子が散布される要因は,風・水・重力など様々だが,動物,とくに鳥による散布が大きな役割を果たしている.
    • 植物は果実で鳥を引きつける.
    • 鳥は植物の種子をペリットとして吐き出したり,糞として排泄したり,種子を含む果実を地中や巣に持ち帰ることで散布する.

種子散布に重要な鳥の特徴

  • 長い移動距離
    • 鳥は海を越えるほどの長距離を移動する.これによって植物は分布域を拡大する機会を得る.
  • 歯を持たない
    • 鳥は歯を持たず,種子を丸飲みにすることで,完全に破壊することなく糞として排泄する.
  • 優れた視覚
    • 鳥は優れた視覚・色覚を持っているので,熟して色づいた果実を見つけることに長けている.

鳥散布に重要な植物の特徴

  • 枝先の果実
    • 果実を樹上の枝先につけることで,鳥類からは食べられ,地上性の哺乳類からは食べられない.
    • 熟してからも枝から落ちない.
    • 鳥散布型の植物で赤い果実をつける植物は多く,森林の中で目立つことで鳥を引きつける.
    • 黒い果実をつける植物も多い.これらのなかには,萼片や茎が赤くなるものがあり,黒と赤の形態的な二色表示で鳥を引きつける.
    • 成熟していくとともに緑から黒,黒から赤へと徐々に色を変え,黒と赤の果実を混在させ,時間的な二色表示で鳥を引きつけるものもある.

貯食行動

毒を持つ果実

ギャラリー

関連ページ

文献

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