「植物観察会/KansatsukaiPageMiniLetter467」の版間の差分

提供: 広島大学デジタル博物館
ナビゲーションに移動検索に移動
1行目: 1行目:
 
=ヒコビアミニレター No. 467(2017年2月19日)=
 
=ヒコビアミニレター No. 467(2017年2月19日)=
 2017年2月19日の第591回植物観察会は,呉市下蒲刈町太平山で行われた.天気は晴れ.44名の参加者があった.予定では太平山の西側の山を予定していたが,コースになっていたみかん畑を横断できなかったため太平山に変更した.塩浜新開バス停前にある大駐車場に10時集合.コース説明の後,下蒲刈農村環境改善センターの前の水路に向かう.シュロガヤツリやウラギク,アレチニシキソウ,ヒメガマなどを観察.
+
 2017年2月19日の第591回植物観察会は,呉市下蒲刈町大平山(275 m)で行われた.天気は晴れ.44名の参加者があった.当初は大平山の西側の山を目指したが,コースになっていたみかん畑を横断できなかったため急遽大平山に変更した.塩浜新開バス停前にある大駐車場に10時集合.コース説明の後,下蒲刈農村環境改善センターの前の水路に向かう.水路に沿って進み,シュロガヤツリやウラギク,アレチニシキソウ,ヒメガマなどを観察.さらに市街地を進み,ホトケノザやノゲシ,スイセン,オオキバナカタバミ,イヌコハコベ?,オオイヌノフグリ,オランダミミナグサ,キュウリグサ,ナズナ,ヒメウズなど春の雑草の花がよく目立った.民家の集中する細道を進むと八幡宮(八幡神社)があり,鳥居の奥のイチョウ(胸高直径97 cm)と社叢林を見る.社叢では,ヒサカキやヤブツバキ,アラカシ,ナンテン,ネズミモチ,テイカカズラ,タイミンタチバナ,コジイ,カクレミノ,モッコク,ヒノキ,アリドオシ,イタビカズラ,モチノキなどを確認する.タイミンタチバナやモッコクは暖地性の島・海岸の森林の重要な要素である.社叢林の高木層はアラカシとコジイが優占していた.また紙垂(シデ)がつけられたモミやサカキも観察した.社叢林から農道に降り,道なりに進む.途中,柑橘類の畑のそばでヤツデ,コナラ,アベマキ,オドリコソウ(f),カゴノキ,オオフユイチゴ,マルバフユイチゴ,ビナンカズラ,テイカカズラ,オニヤブソテツ,チャノキ,マサキ,イヌマキ,ムラサキカタバミ(f),ムベなどを見る.春日神社ではムクロジが実をつけていた.道路は舗装されており,時折軽トラックが行き交う.トラックの荷台には収穫の時期を迎えた瀬戸内レモンやはっさくなどの柑橘類がたくさん積まれていた.ゆるやかな坂道が延々と続くが,道中のいたるところにはもれなく柑橘類の畑があり,個々の果実に丁寧に袋がかけられていた.農家にとって大迷惑なヒヨドリも大きな声で鳴いている.午前11時半を過ぎるころ,植物観察会一行は大平山の展望台を目指すことになった.みかん畑を抜けると,標高が上がるにつれて大平山を形成する樹木の種組成が変化していく様子がわかる.シロダモやヤブニッケイ,カクレミノ,ヤマモモ,クロキ,クスノキなどの常緑広葉樹が中心となり,数は少ないがソヨゴ,ヒメユズリハも確認できた.そのほかコナラ,ノグルミ(果実),ハゼノキ,ヤマウルシ,ウリハダカエデも落ち葉や果実で確認することができた.アカマツやネズミサシ,足元にはテイカカズラやクサイチゴ,コシダ,ウラジロを確認した.竹林を通過し,つづら折りになった山道を進んでいくと公園に到着する.公園の案内板と照らし合わせながら,東側の瀬戸内海を望む.非常に天気が良く,陽光を海が反射していた.その後,展望台に上がり,昼食となった.大平山は太平洋戦争時に設置された砲台跡地があった.また,山頂の公園は桜の名所として有名であるが,植栽されている桜は[[桜図鑑/サクラてんぐ巣病|サクラてんぐ巣病]]にかかった樹が多かった.集合写真を撮影し,下山.15時前に広場に到着し,駐車場で解散した.駐車場の側に植栽されたジュウガツザクラが開花していた.始終あたたかな陽気で,道中は周りにさえぎるものがなかったため,日射しを浴びながらの一日となった.
 
+
<div style="text-align:right">(T. Moroishi, S. Uchida & H. Tsubota 記)</div>
大平山山頂の公園に植栽されている桜は[[桜図鑑/サクラてんぐ巣病|サクラてんぐ巣病]]にかかった樹が多かった.
 
 
 
15時頃,駐車場で解散した.駐車場の側に植栽されたジュウガツザクラが開花していた.暖かい一日であった.
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
さらに進むと自生と思われる[[ヒメユズリハ]]があり,道路にたくさん落ちた果実を観察する.周辺に[[クスノキ]]や[[アラカシ]]もあった.高速道路の高架の近くで[[ヒメアブラススキ]]や[[ムベ]]を観察した.10時30分頃三軒屋墓苑の経小屋山登山口から登りはじめる.山道沿いに[[コシダ]]や[[ヒサカキ]],[[コバノミツバツツジ]],[[ネジキ]],[[サルトリイバラ]],[[アセビ]],[[イヌザンショウ]],[[イヌツゲ]],[[エノキ]],[[ソヨゴ]],[[カクレミノ]],[[ネズ]],[[クロキ]],[[ガンピ]],[[ザイフリボク]],[[ヤマウルシ]],[[ミヤマガマズミ]],[[ネズミモチ]],[[カナメモチ]]などが生育.[[ヤブツバキ]]が開花し,[[ヒサカキ]]は蕾.ところどころに落葉した[[タマミズキ]]があり,宮島に多い[[クロバイ]]や[[イヌガシ]]も散見された.標高100 mくらいから[[コシアブラ]]が見られ,宮島から秋に黄葉が見える植物が本種であることが確認できた.11時30分ころ分かれ道を経て,岩に四角い穴が掘られている「馬のたらい」とよばれる小ピークに到着.宮島側が少し見えるが眺望が悪い.[[ヤマモモ]]や[[シャシャンボ]],[[モッコク]],[[コナラ]]が確認できた.ちょうど12時に城山の頂上(265.5 m)に到着.少し狭いが眺望が良い場所で,昼食を食べる.頂上付近では[[ネジキ]]や[[コナラ]],[[ヤブツバキ]],[[ネズ]],[[クロキ]],[[ヤダケ]]などが生育していた.集合写真を撮影するには狭いため,下山してから撮影することとする.妹背の滝に向かう山道を下る.[[コシダ]]が茂る道を下りながら,[[クロキ]]や[[ネズ]],[[ネジキ]],[[トダシバ]],[[サンヨウアオイ]]などを見る.13時すぎに東屋のそばに出て,滝に向かう.道中,[[ビナンカズラ]]や[[センボンヤリ]],[[ルリミノキ]],[[テイカカズラ]],[[ミツデウラボシ]],[[イタビカズラ]],[[タラヨウ]],[[イズセンリョウ]],[[シリブカガシ]]などを見る.妹背の滝の前で集合写真を撮影した.14時前に大頭神社で解散し,各々徒歩で約20分にある大野浦駅に向かった.
 
<div style="text-align:right">(H. Tsubota & S. Uchida 記)</div>
 
  
 
----
 
----

2017年3月1日 (水) 18:57時点における版

ヒコビアミニレター No. 467(2017年2月19日)

 2017年2月19日の第591回植物観察会は,呉市下蒲刈町大平山(275 m)で行われた.天気は晴れ.44名の参加者があった.当初は大平山の西側の山を目指したが,コースになっていたみかん畑を横断できなかったため急遽大平山に変更した.塩浜新開バス停前にある大駐車場に10時集合.コース説明の後,下蒲刈農村環境改善センターの前の水路に向かう.水路に沿って進み,シュロガヤツリやウラギク,アレチニシキソウ,ヒメガマなどを観察.さらに市街地を進み,ホトケノザやノゲシ,スイセン,オオキバナカタバミ,イヌコハコベ?,オオイヌノフグリ,オランダミミナグサ,キュウリグサ,ナズナ,ヒメウズなど春の雑草の花がよく目立った.民家の集中する細道を進むと八幡宮(八幡神社)があり,鳥居の奥のイチョウ(胸高直径97 cm)と社叢林を見る.社叢では,ヒサカキやヤブツバキ,アラカシ,ナンテン,ネズミモチ,テイカカズラ,タイミンタチバナ,コジイ,カクレミノ,モッコク,ヒノキ,アリドオシ,イタビカズラ,モチノキなどを確認する.タイミンタチバナやモッコクは暖地性の島・海岸の森林の重要な要素である.社叢林の高木層はアラカシとコジイが優占していた.また紙垂(シデ)がつけられたモミやサカキも観察した.社叢林から農道に降り,道なりに進む.途中,柑橘類の畑のそばでヤツデ,コナラ,アベマキ,オドリコソウ(f),カゴノキ,オオフユイチゴ,マルバフユイチゴ,ビナンカズラ,テイカカズラ,オニヤブソテツ,チャノキ,マサキ,イヌマキ,ムラサキカタバミ(f),ムベなどを見る.春日神社ではムクロジが実をつけていた.道路は舗装されており,時折軽トラックが行き交う.トラックの荷台には収穫の時期を迎えた瀬戸内レモンやはっさくなどの柑橘類がたくさん積まれていた.ゆるやかな坂道が延々と続くが,道中のいたるところにはもれなく柑橘類の畑があり,個々の果実に丁寧に袋がかけられていた.農家にとって大迷惑なヒヨドリも大きな声で鳴いている.午前11時半を過ぎるころ,植物観察会一行は大平山の展望台を目指すことになった.みかん畑を抜けると,標高が上がるにつれて大平山を形成する樹木の種組成が変化していく様子がわかる.シロダモやヤブニッケイ,カクレミノ,ヤマモモ,クロキ,クスノキなどの常緑広葉樹が中心となり,数は少ないがソヨゴ,ヒメユズリハも確認できた.そのほかコナラ,ノグルミ(果実),ハゼノキ,ヤマウルシ,ウリハダカエデも落ち葉や果実で確認することができた.アカマツやネズミサシ,足元にはテイカカズラやクサイチゴ,コシダ,ウラジロを確認した.竹林を通過し,つづら折りになった山道を進んでいくと公園に到着する.公園の案内板と照らし合わせながら,東側の瀬戸内海を望む.非常に天気が良く,陽光を海が反射していた.その後,展望台に上がり,昼食となった.大平山は太平洋戦争時に設置された砲台跡地があった.また,山頂の公園は桜の名所として有名であるが,植栽されている桜はサクラてんぐ巣病にかかった樹が多かった.集合写真を撮影し,下山.15時前に広場に到着し,駐車場で解散した.駐車場の側に植栽されたジュウガツザクラが開花していた.始終あたたかな陽気で,道中は周りにさえぎるものがなかったため,日射しを浴びながらの一日となった.

(T. Moroishi, S. Uchida & H. Tsubota 記)

デジタル自然史博物館 / 広島大学 / 宮島自然植物実験所 / 植物観察会のトップ / 過去のヒコビアミニレター / 古いNews | 植物 にもどる