「東広島キャンパスの生き物」の版間の差分
(→9月) |
(→10月) |
||
(2人の利用者による、間の47版が非表示) | |||
7行目: | 7行目: | ||
==2019== | ==2019== | ||
+ | ===10月=== | ||
+ | *2019.10.15-16 東広島キャンパスで[[シロマダラ]]を観察することができました.夜行性のヘビであるため人目につかず,しばしば幻のヘビとして報道されていますが,キャンパスでも個体数は少なくないようです.そのほか巧みに[[ヨモギ]]の花序に擬態する[[ハイイロセダカモクメ_広島大学東広島キャンパス|ハイイロセダカモクメ]]の幼虫や,交接する[[アカサビザトウムシ_広島大学東広島キャンパス|アカサビザトウムシ]]などが見られました. | ||
+ | |||
+ | {| | ||
+ | |[[ファイル: 20191016シロマダラ成蛇_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_86896s.jpg|250px|thumb|right|シロマダラの成蛇.黒い斑模様が特徴的.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 16, 2019)|link=シロマダラ]] | ||
+ | |[[ファイル: 20191016ハイイロセダカモクメ幼虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_86824s.jpg|250px|thumb|right|[[ヨモギ]]の花序に擬態するハイイロセダカモクメの幼虫.赤い矢印が示す場所にいる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 16, 2019)|link=ハイイロセダカモクメ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20191016アカサビザトウムシ成体_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_86841s.jpg|250px|thumb|right|交接するアカサビザトウムシ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 16, 2019)]] | ||
+ | |} | ||
+ | |||
+ | 東広島キャンパスでは様々なシジミチョウが見られます.笹薮で見られる[[ゴイシシジミ_広島大学東広島キャンパス|ゴイシシジミ]]は翅表の黒斑が大きく,碁石のような模様をしています.また,日本のシジミチョウとしては珍しく,幼虫が肉食性で[[ネザサ]]につくアブラムシを捕食します.[[ウラギンシジミ_広島大学東広島キャンパス|ウラギンシジミ]]は[[クズ]]原などで見られ,性的二型のため雌雄で翅表の模様が異なります.気温が低く,よく晴れた日に翅を開くので色の違いを観察しやすくなります. | ||
+ | |||
+ | {| | ||
+ | |[[ファイル: 20191016ゴイシシジミ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_86614s.jpg|250px|thumb|right|陽を浴びるゴイシシジミの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 16, 2019)|link=ゴイシシジミ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20191016ウラギンシジミ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_86583s.jpg|250px|thumb|right|開翅するウラギンシジミの成虫(オス).翅表の模様は橙色.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 16, 2019)|link=ウラギンシジミ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20191016ウラギンシジミ成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_86637s.jpg|250px|thumb|right|開翅するウラギンシジミの成虫(メス).翅表の模様は銀白色.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 16, 2019)|link=ウラギンシジミ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |} | ||
+ | |||
+ | そのほか成熟した[[ナツアカネ_広島大学東広島キャンパス|ナツアカネ]]のオスやヘビのような[[ベニスズメ_広島大学東広島キャンパス|ベニスズメ]]の幼虫,ドーム状の巣を張る[[アシナガサラグモ_広島大学東広島キャンパス|アシナガサラグモ]]などを観察することができました. | ||
+ | |||
+ | {| | ||
+ | |[[ファイル: 20191016ナツアカネ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_86429s.jpg|250px|thumb|right|成熟したナツアカネの成虫(オス).頭部から腹部まで赤い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 16, 2019)|link=ナツアカネ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20191016ベニスズメ幼虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_86542s.jpg|250px|thumb|right|ベニスズメの幼虫.驚くと頭部を膨らませる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 16, 2019)|link=ベニスズメ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20191016アシナガサラグモ成体メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_86486s.jpg|250px|thumb|right|アシナガサラグモの成体(メス).メスの腹部背面は黒い腹部が目立つ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 16, 2019)|link=アシナガサラグモ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |} | ||
+ | |||
+ | *2019.10.7-11 東広島キャンパスでは、在来種に限定すると5種類のカマキリを観察することができます.[[チョウセンカマキリ_広島大学東広島キャンパス|チョウセンカマキリ]]は湿った草地に多く,[[ふれあいビオトープ]]などで見る機会が多いです.[[オオカマキリ_広島大学東広島キャンパス|オオカマキリ]]はキャンパス全域の林縁部などに多く,時折大きい獲物を捕らえている姿が見られます.[[ヒメカマキリ_広島大学東広島キャンパス|ヒメカマキリ]]は小さなカマキリで少し発見が難しいですが,オスは外灯に飛来していることが多いです. | ||
+ | |||
+ | {| | ||
+ | |[[ファイル: 20191009チョウセンカマキリ成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_81532s.jpg|200px|thumb|right|チョウセンカマキリの成虫(メス).前脚の付け根が橙色であることが特徴.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 9, 2019)|link=チョウセンカマキリ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20191009ヒメカマキリ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_81783s.jpg|250px|thumb|right|ヒメカマキリの成虫(オス).飛翔性が高く,灯りにもしばしば飛来する.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 9, 2019)|link=ヒメカマキリ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20191011オオカマキリ成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_82181s.jpg|250px|thumb|right|[[マイマイカブリ_広島大学東広島キャンパス|マイマイカブリ]]を捕食するオオカマキリの成虫(メス).甲虫の頑強な鞘翅をものともせず食い破る.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 11, 2019)|link=オオカマキリ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |} | ||
+ | |||
+ | 秋の東広島キャンパスでは,至る所でアカネ属のトンボが数多く見られます.「赤とんぼ」を代表する[[アキアカネ_広島大学東広島キャンパス|アキアカネ]]や[[ナツアカネ_広島大学東広島キャンパス|ナツアカネ]]はもちろん,翅の先に暗色班のある[[コノシメトンボ_広島大学東広島キャンパス|コノシメトンボ]]や[[リスアカネ_広島大学東広島キャンパス|リスアカネ]],小型な[[ヒメアカネ_広島大学東広島キャンパス|ヒメアカネ]]や[[マイコアカネ_広島大学東広島キャンパス|マイコアカネ]]などです.多くの種が山中池や角脇調整池などのため池周辺で観察することができます. | ||
+ | {| | ||
+ | |[[ファイル: 20191011アキアカネ成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_82071s.jpg|250px|thumb|right|成熟したアキアカネの成虫(メス).ナツアカネのメスに似るが,胸部側面の黒条が尖る.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 11, 2019)|link=アキアカネ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20191007ナツアカネ成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_80812s.jpg|250px|thumb|right|成熟したナツアカネの成虫(メス).アキアカネのメスに似るが,胸部側面の黒条が角ばる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 7, 2019)|link=ナツアカネ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20191009コノシメトンボ成虫成熟メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_81703s.jpg|250px|thumb|right|成熟したコノシメトンボの成虫(メス).東広島キャンパスでは角脇調整池周辺に多い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 9, 2019)|link=コノシメトンボ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |- | ||
+ | |[[ファイル: 20191009マイコアカネ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_81532.JPG|250px|thumb|right|成熟したマイコアカネの成虫(オス).オスは頭部が青白いのが特徴.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 9, 2019)|link=マイコアカネ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20191009リスアカネ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_81485s.jpg|250px|thumb|right|成熟したリスアカネの成虫(オス).樹林に囲まれたため池に多い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 9, 2019)|link=リスアカネ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20191009ヒメアカネ成熟オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_81621s.jpg|250px|thumb|right|成熟したヒメアカネの成虫(オス).キャンパスではマユタテアカネに次いでよく見られる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 9, 2019)|link=ヒメアカネ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |} | ||
+ | |||
+ | キャンパスでは[[ササキリ_広島大学東広島キャンパス|ササキリ]]のような鳴く虫だけではなく,個性的なバッタ目の昆虫が見られます.アリの巣で生活するアリヅカコオロギ科の一種である[[テラニシアリヅカコオロギ_広島大学東広島キャンパス|テラニシアリヅカコオロギ]]は,ケアリ亜属の巣に寄生します.夏場に成虫が見られた[[コロギス_広島大学東広島キャンパス|コロギス]]や[[ハネナシコロギス_広島大学東広島キャンパス|ハネナシコロギス]]はもう幼虫が出現しており,このまま冬を越します. | ||
+ | |||
+ | {| | ||
+ | |[[ファイル: 20191008テラニシアリヅカコオロギ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_81294s.jpg|250px|thumb|right|テラニシアリヅカコオロギの成虫(オス).ケアリ亜属をホストとする.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 8, 2019)|link=テラニシアリヅカコオロギ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20191010コロギス幼虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_82060s.jpg|250px|thumb|right|コロギスの幼虫(オス).本種や[[ハネナシコロギス_広島大学東広島キャンパス|ハネナシコロギス]]は幼虫で越冬する.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 10, 2019)|link=コロギス_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20191008ササキリ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_81252s.jpg|250px|thumb|right|ササキリの成虫(オス).生態実験園の低木上で「シリシリシリ・・・」と鳴いていることが多い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 8, 2019)|link=ササキリ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |} | ||
+ | |||
+ | 秋型のチョウも見られます.東広島キャンパスでは[[ツマグロキチョウ_広島大学東広島キャンパス|ツマグロキチョウ]]が比較的多く,[[生態実験園]]などで[[キタキチョウ_広島大学東広島キャンパス|キタキチョウ]]とともに観察することができます.[[クロコノマチョウ_広島大学東広島キャンパス|クロコノマチョウ]]はとまっていると枯葉にそっくりなチョウで,薄暗い林縁部で見られます.[[コウモリガ_広島大学東広島キャンパス|コウモリガ]]は細長い体と太い前中脚が特徴的で,灯りにしばしば飛来します.[[クロメンガタスズメ_広島大学東広島キャンパス|クロメンガタスズメ]]の幼虫は非常に大きく,尾角が巻いており小突起が並ぶことが特徴です. | ||
+ | |||
+ | {| | ||
+ | |[[ファイル: 20191009ツマグロキチョウ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_81585s.jpg|250px|thumb|right|秋型のツマグロキチョウの成虫.後翅裏に暗色筋が2本入るのが特徴的.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 9, 2019)|link=ツマグロキチョウ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20191010クロコノマチョウ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_81866s.jpg|250px|thumb|right|秋型のクロコノマチョウの成虫(メス).翅の裏には小さな眼状紋が並ぶ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 10, 2019)|link=クロコノマチョウ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20191008コウモリガ成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_81204s.jpg|200px|thumb|right|コウモリガの成虫(メス).日中は樹幹や壁にしがみついていることが多い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 8, 2019)|link=コウモリガ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20191009クロメンガタスズメ幼虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_81750s.jpg|200px|thumb|right|クロメンガタスズメの幼虫.クサギのほか,ナス科のチョウセンアサガオやナスも食べる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 9, 2019)|link=クロメンガタスズメ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |} | ||
+ | |||
+ | 毎週金曜日の野鳥調査で[[ノスリ]]が確認されました.これでキャンパスで確認された鳥類は69種になりました.また,[[オオバン]]の飛来も確認されました.[[モズ]]が「キチキチキチキチ……」と高鳴きしています.キャンパスの野鳥については「[[東広島キャンパスの鳥類相]]」もご覧ください. | ||
+ | |||
+ | {| | ||
+ | |[[ファイル:20191011ノスリ_東広島市鏡山_池田撮影_IMG_50191s.JPG|250px|thumb|right|ノスリ(広島県東広島市鏡山; 撮影: 池田誠慈, Oct. 11, 2019)|link=ノスリ]] | ||
+ | |[[ファイル:20191011オオバン_東広島市鏡山_池田撮影_IMG_50200s.JPG|250px|thumb|right|オオバン(広島県東広島市鏡山; 撮影: 池田誠慈, Oct. 11, 2019)|link=オオバン]] | ||
+ | |[[ファイル:20191011モズ_東広島市鏡山_池田撮影_IMG_50408s.JPG|250px|thumb|right|高鳴きするモズ(広島県東広島市鏡山; 撮影: 池田誠慈, Oct. 11, 2019)|link=モズ]] | ||
+ | |- | ||
+ | |[[ファイル:20191011イソヒヨドリオス_東広島市鏡山_池田撮影_IMG_50313s.JPG|250px|thumb|right|イソヒヨドリのオス(広島県東広島市鏡山; 撮影: 池田誠慈, Oct. 11, 2019)]] | ||
+ | |[[ファイル:20191011カワラヒワ_東広島市鏡山_池田撮影_IMG_50120s.JPG|250px|thumb|right|カワラヒワ(広島県東広島市鏡山; 撮影: 池田誠慈, Oct. 11, 2019)|link=カワラヒワ]] | ||
+ | |[[ファイル:20191011キジバト_東広島市鏡山_池田撮影_IMG_50273s.JPG|250px|thumb|right|キジバト(広島県東広島市鏡山; 撮影: 池田誠慈, Oct. 11, 2019)|link=キジバト]] | ||
+ | |} | ||
+ | |||
+ | *2019.09.30-10.4 東広島キャンパスでは[[ツクツクボウシ_広島大学東広島キャンパス|ツクツクボウシ]]など多くのセミが姿を消していますが,[[チッチゼミ_広島大学東広島キャンパス|チッチゼミ]]は盛んに鳴いています.[[チッチゼミ_広島大学東広島キャンパス|チッチゼミ]]は晩秋まで観察することができます.また,成熟した[[キトンボ_広島大学東広島キャンパス|キトンボ]]や[[ウラナミシジミ_広島大学東広島キャンパス|ウラナミシジミ]],鳴く虫の[[クマコオロギ_広島大学東広島キャンパス|クマコオロギ]]など秋の到来を感じさせる昆虫が見られました. | ||
+ | |||
+ | {| | ||
+ | |[[ファイル: 20191004チッチゼミ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_80525s.jpg|250px|thumb|right|チッチゼミの成虫(オス).「チッチッチッチ・・・」と単調に鳴く.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 4, 2019)|link=チッチゼミ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20191004キトンボ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_80319s.jpg|250px|thumb|right|キトンボの成虫(メス).メスは腹部の先の産卵弁が下方に突き出ている.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 4, 2019)|link=キトンボ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20191002ウラナミシジミ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_79989s.jpg|250px|thumb|right|ヤブツルアズキで吸蜜するウラナミシジミの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 2, 2019)|link=ウラナミシジミ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |- | ||
+ | |[[ファイル: 20191004クマコオロギ成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_80638s.jpg|250px|thumb|right|クマコオロギの成虫(メス).湿った草地に多い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 4, 2019)|link=クマコオロギ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20190930コカマキリ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_79594s.jpg|250px|thumb|right|コカマキリの成虫(オス).林縁から草地まで幅広い環境に見られる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep.30, 2019)|link=コカマキリ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20190930キボシマルウンカ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_79817s.jpg|250px|thumb|right|キボシマルウンカの成虫.キャンパスでは様々な植物についている姿が見られる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 30, 2019)|link=キボシマルウンカ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |} | ||
+ | |||
+ | 夜には秋を告げる様々なガが見られます.[[クスサン_広島大学東広島キャンパス|クスサン]]と[[ヤママユ_広島大学東広島キャンパス|ヤママユ]]はともにヤママユ科の大型蛾で,眼状紋が特徴的です.[[ウスバツバメガ_広島大学東広島キャンパス|ウスバツバメガ]]はサクラ並木などでよく見られます. | ||
+ | |||
+ | {| | ||
+ | |[[ファイル: 20190930ヤママユ成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_79945s.jpg|250px|thumb|right|ヤママユの成虫(メス).晩夏を告げる大型のガである.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 30, 2019)|link=ヤママユ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20191004クスサン成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_80727s.jpg|250px|thumb|right|クスサンの成虫(メス).刺激を受けると後翅の眼状紋を見せつけて威嚇する.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 4, 2019)|link=クスサン_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20191004ウスバツバメガ成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_80692s.jpg|250px|thumb|right|ウスバツバメガの成虫(メス).ウメやサクラなどバラ科樹木の周りで見られる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 4, 2019)|link=ウスバツバメガ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |} | ||
+ | |||
+ | 個性的なクモ類も見られました.[[カトウツケオグモ_広島大学東広島キャンパス|カトウツケオグモ]]は珍種とされていますが,ががら山の林縁部でしばしば確認されています.[[ビジョオニグモ_広島大学東広島キャンパス|ビジョオニグモ]]は日中葉を巻いた巣に身を隠していますが,日が暮れると円網の中で獲物を待ちます.[[ワキグロサツマノミダマシ_広島大学東広島キャンパス|ワキグロサツマノミダマシ]]はキャンパスで広く見られ,[[サツマノミダマシ_広島大学東広島キャンパス|サツマノミダマシ]]という近縁種も見られます. | ||
+ | |||
+ | {| | ||
+ | |[[ファイル: 20191004カトウツケオグモ幼体_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_80418s.jpg|250px|thumb|right|カトウツケオグモの幼体.臭いを放出することがある.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 4, 2019)|link=カトウツケオグモ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20190930ビジョオニグモ成体メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_79658s.jpg|250px|thumb|right|ビジョオニグモの成体(メス).腹部に人面のような模様がある.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 30, 2019)|link=ビジョオニグモ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20191002ワキグロサツマノミダマシ成体メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_80089s.jpg|250px|thumb|right|ワキグロサツマノミダマシの成体(メス).サツマノミダマシに似るが,腹部腹面が黒褐色であることが識別点.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 2, 2019)|link=ワキグロサツマノミダマシ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |} | ||
+ | |||
===9月=== | ===9月=== | ||
+ | *2019.09.23-27 夜のキャンパスでは様々な秋の虫が鳴いています.有名な[[マツムシ_広島大学東広島キャンパス|マツムシ]]や[[エンマコオロギ_広島大学東広島キャンパス|エンマコオロギ]]はそれぞれ「チンチロリン」「コロコロリー」と鳴き,秋の風物詩として親しまれてきた存在です.また,名はあまり知られていませんが[[クマスズムシ_広島大学東広島キャンパス|クマスズムシ]]も見られ,こちらも「リンリンリン」と美しい声で鳴きます.いずれもキャンパスの陸上競技場の近くで鑑賞することができます. | ||
+ | |||
+ | {| | ||
+ | |[[ファイル: 20190923マツムシ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_80561s.jpg|250px|thumb|right|マツムシの成虫(オス).ススキなどの根本でチンチロリンと鳴く.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 23, 2019)|link=マツムシ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20190923エンマコオロギ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_80572s.jpg|250px|thumb|right|エンマコオロギの成虫(オス).コロコロリーと鳴くことが多い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 23, 2019)|link=エンマコオロギ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20190923クマスズムシ成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_80493s.jpg|250px|thumb|right|クマスズムシの成虫(メス).産卵管があり,翅の筋が単純.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 23, 2019)|link=クマスズムシ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |} | ||
+ | |||
+ | *2019.09.20 毎週金曜日の野鳥調査の際,[[ぶどう池]]で[[ヒドリガモ]]のオス1羽を初認しました.また,[[コサメビタキ]]を確認しました.これから冬鳥が飛来する季節になります.東広島キャンパスの野鳥については,「[[東広島キャンパスの鳥類相]]」という特集ページをご覧ください. | ||
+ | |||
+ | {| | ||
+ | |[[ファイル:20190920コサメビタキ_東広島市鏡山_谷口撮影_IMG_8028_10_27s.JPG|250px|thumb|right|コサメビタキ(広島県東広島市鏡山; 撮影: 谷口昌司・範子; , Sep. 20, 2019)]] | ||
+ | |[[ファイル:20190920ヒドリガモ01_東広島市鏡山_谷口撮影_IMG_8067_10_41s.JPG|250px|thumb|right|ヒドリガモのオス.2019年冬季の初認.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 谷口昌司・範子; , Sep. 20, 2019)|link=ヒドリガモ]] | ||
+ | |[[ファイル:20190920ヒドリガモ02_東広島市鏡山_谷口撮影_IMG_8077_10_42s.JPG|250px|thumb|right|ヒドリガモのオス.ぶどう池にて.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 谷口昌司・範子; , Sep. 20, 2019)|link=ヒドリガモ]] | ||
+ | |} | ||
+ | |||
*2019.09.16-20 キャンパスでは多くの両生類や爬虫類を観察することができます.今週は[[ヒバカリ]]と[[ニホンマムシ]]の幼蛇を観察することができました.マムシの幼蛇は尻尾が黄色いことが特徴です.また,休む[[シュレーゲルアオガエル_広島大学東広島キャンパス|シュレーゲルアオガエル]]のメスを観察することができました. | *2019.09.16-20 キャンパスでは多くの両生類や爬虫類を観察することができます.今週は[[ヒバカリ]]と[[ニホンマムシ]]の幼蛇を観察することができました.マムシの幼蛇は尻尾が黄色いことが特徴です.また,休む[[シュレーゲルアオガエル_広島大学東広島キャンパス|シュレーゲルアオガエル]]のメスを観察することができました. | ||
14行目: | 131行目: | ||
|[[ファイル: 20190918ニホンマムシ幼蛇_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_79916s.jpg|250px|thumb|right|ニホンマムシの幼蛇.尻尾が黄色い.(広島県東広島市; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 18, 2019)|link=ニホンマムシ]] | |[[ファイル: 20190918ニホンマムシ幼蛇_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_79916s.jpg|250px|thumb|right|ニホンマムシの幼蛇.尻尾が黄色い.(広島県東広島市; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 18, 2019)|link=ニホンマムシ]] | ||
|[[ファイル: 20190920シュレーゲルアオガエル成体メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_80396s.jpg|200px|thumb|right|休むシュレーゲルアオガエルの成体(メス).黄色い斑がある.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 20, 2019)|link=シュレーゲルアオガエル_広島大学東広島キャンパス]] | |[[ファイル: 20190920シュレーゲルアオガエル成体メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_80396s.jpg|200px|thumb|right|休むシュレーゲルアオガエルの成体(メス).黄色い斑がある.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 20, 2019)|link=シュレーゲルアオガエル_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |} | ||
+ | |||
+ | 秋の虫が鳴いています.陸上競技場周辺では[[スズムシ_広島大学東広島キャンパス|スズムシ]]やマツムシに加え,[[カンタン_広島大学東広島キャンパス|カンタン]]と[[ヒロバネカンタン_広島大学東広島キャンパス|ヒロバネカンタン]]の鳴き声が聞こえます.両種は外見が非常に似ていますが,前者は「ルルルルルル...」と鳴き,後者は「フィリー・フィリー」と鳴きます.また,[[ヌルデ]]の樹上には翅をもつナナフシである[[タイワントビナナフシ_広島大学東広島キャンパス|タイワントビナナフシ]]が見られます. | ||
+ | |||
+ | {| | ||
+ | |[[ファイル: 20190917カンタン成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_79730s.jpg|250px|thumb|right|鳴くカンタンの成虫(オス).(広島県東広島市; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 17, 2019)|link=カンタン_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20190917ヒロバネカンタン成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_79722s.jpg|250px|thumb|right|鳴くヒロバネカンタンの成虫(オス).(広島県東広島市; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 17, 2019)|link=ヒロバネカンタン_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20190916タイワントビナナフシ成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_79546s.jpg|250px|thumb|right|タイワントビナナフシの成虫(メス).単為生殖を行うため,オスはほとんど見つかっていない.(広島県東広島市; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 16, 2019)|link=タイワントビナナフシ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |} | ||
+ | |||
+ | キャンパスでは初記録となる[[ネキトンボ_広島大学東広島キャンパス|ネキトンボ]]を観察することができました.また,陣ヶ平山のため池で[[オオコオイムシ_広島大学東広島キャンパス|オオコオイムシ]]を確認することができました.そのほか角脇調整池周辺の林縁部の獣糞から[[コブマルエンマコガネ_広島大学東広島キャンパス|コブマルエンマコガネ]]を見つけたり,テニスコートの灯りに飛来した[[ホソバスズメ_広島大学東広島キャンパス|ホソバスズメ]]を観察したりすることができました. | ||
+ | |||
+ | {| | ||
+ | |[[ファイル: 20190916ネキトンボ成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_79521s.jpg|250px|thumb|right|ネキトンボの成虫(メス).メスはショウジョウトンボやキトンボとは似ない.(広島県東広島市; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 16, 2019)|link=ネキトンボ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20190918オオコオイムシ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_79807s.jpg|250px|thumb|right|オオコオイムシの成虫.ふつうコオイムシよりも体長が大きく,全体的に黒い.(広島県東広島市; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 18, 2019)|link=オオコオイムシ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20190917コブマルエンマコガネ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_79653s.jpg|250px|thumb|right|コブマルエンマコガネの成虫(オス).目立たないが頭部に角がある.(広島県東広島市; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 17, 2019)|link=コブマルエンマコガネ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |- | ||
+ | |[[ファイル: 20190917ホソバスズメ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_79756s.jpg|250px|thumb|right|ホソバスズメの成虫.類似種が多く,模様や翅の形で識別する.(広島県東広島市; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 17, 2019)|link=ホソバスズメ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20190917コガタスズメバチ成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_79618s.jpg|250px|thumb|right|[[ヤブガラシ]]で蜜を集めるコガタスズメバチの成虫(メス).オオスズメバチと色や模様が似るが,小型で頭楯の突起が3つであることで識別できる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 17, 2019)|link=コガタスズメバチ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
+ | |[[ファイル: 20190920アミガサハゴロモ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_80426s.jpg|250px|thumb|right|アミガサハゴロモの成虫.前翅の一対の黄色斑が特徴.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 20, 2019)|link=アミガサハゴロモ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
|} | |} | ||
19行目: | 156行目: | ||
{| | {| | ||
− | |[[ファイル: 20190913ミンミンゼミ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_78772s.jpg|250px|thumb|right|鳴くミンミンゼミの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 13, 2019)]] | + | |[[ファイル: 20190913ミンミンゼミ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_78772s.jpg|250px|thumb|right|鳴くミンミンゼミの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 13, 2019)|link=ミンミンゼミ_広島大学東広島キャンパス]] |
− | |[[ファイル: 20190912ハラビロカマキリ成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_78391s.jpg|250px|thumb|right|ハラビロカマキリの成虫(メス).前翅の白斑が特徴.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 12, 2019)]] | + | |[[ファイル: 20190912ハラビロカマキリ成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_78391s.jpg|250px|thumb|right|ハラビロカマキリの成虫(メス).前翅の白斑が特徴.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 12, 2019)|link=ハラビロカマキリ_広島大学東広島キャンパス]] |
− | |[[ファイル: 20190912コバネアオイトトンボ成虫オス_東広島市_南葉撮影_IMG_78508s.jpg|250px|thumb|right|コバネアオイトトンボの成虫(オス).アオイトトンボやオオアオイトトンボとは胸部の金属光沢部の範囲で識別することができる.(広島県東広島市; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 12, 2019)]] | + | |[[ファイル: 20190912コバネアオイトトンボ成虫オス_東広島市_南葉撮影_IMG_78508s.jpg|250px|thumb|right|コバネアオイトトンボの成虫(オス).アオイトトンボやオオアオイトトンボとは胸部の金属光沢部の範囲で識別することができる.(広島県東広島市; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 12, 2019)|link=コバネアオイトトンボ_広島大学東広島キャンパス]] |
|} | |} | ||
350行目: | 487行目: | ||
|} | |} | ||
− | 夜のキャンパスでは[[シンジュサン_広島大学東広島キャンパス|シンジュサン]]が灯りに飛来することがあります.また,[[オオウラギンスジヒョウモン_広島大学東広島キャンパス| | + | 夜のキャンパスでは[[シンジュサン_広島大学東広島キャンパス|シンジュサン]]が灯りに飛来することがあります.また,[[オオウラギンスジヒョウモン_広島大学東広島キャンパス|オオウラギンスジヒョウモン]]はアザミで吸蜜する姿が,[[ウラナミアカシジミ_広島大学東広島キャンパス|ウラナミアカシジミ]]が各所の[[アベマキ]]や[[クヌギ]]の若木の周りで見られます. |
{| | {| | ||
|[[ファイル: 20190622シンジュサン成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_59416.jpg|250px|thumb|right|シンジュサンの成虫(メス).開張すると120mm以上にもなる非常に大きなガ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 22, 2019)|link=シンジュサン_広島大学東広島キャンパス]] | |[[ファイル: 20190622シンジュサン成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_59416.jpg|250px|thumb|right|シンジュサンの成虫(メス).開張すると120mm以上にもなる非常に大きなガ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 22, 2019)|link=シンジュサン_広島大学東広島キャンパス]] | ||
− | |[[ファイル: 20190628オオウラギンスジヒョウモン成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_60792s.jpg|250px|thumb|right|オオウラギンスジヒョウモンの成虫(オス).ウラギンスジヒョウモンに似るが,翅頂が尖るなどの差異がある.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 28, 2019)|link= | + | |[[ファイル: 20190628オオウラギンスジヒョウモン成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_60792s.jpg|250px|thumb|right|オオウラギンスジヒョウモンの成虫(オス).ウラギンスジヒョウモンに似るが,翅頂が尖るなどの差異がある.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 28, 2019)|link=オオウラギンスジヒョウモン_広島大学東広島キャンパス]] |
|[[ファイル: 20190624ウラナミアカシジミ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_59768s.jpg|250px|thumb|right|ウラナミアカシジミの成虫.夕方になると活発に飛ぶ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 24, 2019)|link=ウラナミアカシジミ_広島大学東広島キャンパス]] | |[[ファイル: 20190624ウラナミアカシジミ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_59768s.jpg|250px|thumb|right|ウラナミアカシジミの成虫.夕方になると活発に飛ぶ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 24, 2019)|link=ウラナミアカシジミ_広島大学東広島キャンパス]] | ||
|} | |} |
2019年10月19日 (土) 20:24時点における版
広島大学 > デジタル自然史博物館 > メインページ > 広島大学の自然 > 東広島キャンパスの動物 > 東広島キャンパスの生き物
キャンパスで現在見られる動物の情報です.写真や名前をクリックすると解説ページに移動します(黄色く反転しているリンクは作成中のページです).解説ページの写真はクリックすると拡大します.
2019
10月
- 2019.10.15-16 東広島キャンパスでシロマダラを観察することができました.夜行性のヘビであるため人目につかず,しばしば幻のヘビとして報道されていますが,キャンパスでも個体数は少なくないようです.そのほか巧みにヨモギの花序に擬態するハイイロセダカモクメの幼虫や,交接するアカサビザトウムシなどが見られました.
東広島キャンパスでは様々なシジミチョウが見られます.笹薮で見られるゴイシシジミは翅表の黒斑が大きく,碁石のような模様をしています.また,日本のシジミチョウとしては珍しく,幼虫が肉食性でネザサにつくアブラムシを捕食します.ウラギンシジミはクズ原などで見られ,性的二型のため雌雄で翅表の模様が異なります.気温が低く,よく晴れた日に翅を開くので色の違いを観察しやすくなります.
そのほか成熟したナツアカネのオスやヘビのようなベニスズメの幼虫,ドーム状の巣を張るアシナガサラグモなどを観察することができました.
- 2019.10.7-11 東広島キャンパスでは、在来種に限定すると5種類のカマキリを観察することができます.チョウセンカマキリは湿った草地に多く,ふれあいビオトープなどで見る機会が多いです.オオカマキリはキャンパス全域の林縁部などに多く,時折大きい獲物を捕らえている姿が見られます.ヒメカマキリは小さなカマキリで少し発見が難しいですが,オスは外灯に飛来していることが多いです.
秋の東広島キャンパスでは,至る所でアカネ属のトンボが数多く見られます.「赤とんぼ」を代表するアキアカネやナツアカネはもちろん,翅の先に暗色班のあるコノシメトンボやリスアカネ,小型なヒメアカネやマイコアカネなどです.多くの種が山中池や角脇調整池などのため池周辺で観察することができます.
キャンパスではササキリのような鳴く虫だけではなく,個性的なバッタ目の昆虫が見られます.アリの巣で生活するアリヅカコオロギ科の一種であるテラニシアリヅカコオロギは,ケアリ亜属の巣に寄生します.夏場に成虫が見られたコロギスやハネナシコロギスはもう幼虫が出現しており,このまま冬を越します.
秋型のチョウも見られます.東広島キャンパスではツマグロキチョウが比較的多く,生態実験園などでキタキチョウとともに観察することができます.クロコノマチョウはとまっていると枯葉にそっくりなチョウで,薄暗い林縁部で見られます.コウモリガは細長い体と太い前中脚が特徴的で,灯りにしばしば飛来します.クロメンガタスズメの幼虫は非常に大きく,尾角が巻いており小突起が並ぶことが特徴です.
毎週金曜日の野鳥調査でノスリが確認されました.これでキャンパスで確認された鳥類は69種になりました.また,オオバンの飛来も確認されました.モズが「キチキチキチキチ……」と高鳴きしています.キャンパスの野鳥については「東広島キャンパスの鳥類相」もご覧ください.
- 2019.09.30-10.4 東広島キャンパスではツクツクボウシなど多くのセミが姿を消していますが,チッチゼミは盛んに鳴いています.チッチゼミは晩秋まで観察することができます.また,成熟したキトンボやウラナミシジミ,鳴く虫のクマコオロギなど秋の到来を感じさせる昆虫が見られました.
夜には秋を告げる様々なガが見られます.クスサンとヤママユはともにヤママユ科の大型蛾で,眼状紋が特徴的です.ウスバツバメガはサクラ並木などでよく見られます.
個性的なクモ類も見られました.カトウツケオグモは珍種とされていますが,ががら山の林縁部でしばしば確認されています.ビジョオニグモは日中葉を巻いた巣に身を隠していますが,日が暮れると円網の中で獲物を待ちます.ワキグロサツマノミダマシはキャンパスで広く見られ,サツマノミダマシという近縁種も見られます.
9月
- 2019.09.23-27 夜のキャンパスでは様々な秋の虫が鳴いています.有名なマツムシやエンマコオロギはそれぞれ「チンチロリン」「コロコロリー」と鳴き,秋の風物詩として親しまれてきた存在です.また,名はあまり知られていませんがクマスズムシも見られ,こちらも「リンリンリン」と美しい声で鳴きます.いずれもキャンパスの陸上競技場の近くで鑑賞することができます.
- 2019.09.20 毎週金曜日の野鳥調査の際,ぶどう池でヒドリガモのオス1羽を初認しました.また,コサメビタキを確認しました.これから冬鳥が飛来する季節になります.東広島キャンパスの野鳥については,「東広島キャンパスの鳥類相」という特集ページをご覧ください.
- 2019.09.16-20 キャンパスでは多くの両生類や爬虫類を観察することができます.今週はヒバカリとニホンマムシの幼蛇を観察することができました.マムシの幼蛇は尻尾が黄色いことが特徴です.また,休むシュレーゲルアオガエルのメスを観察することができました.
秋の虫が鳴いています.陸上競技場周辺ではスズムシやマツムシに加え,カンタンとヒロバネカンタンの鳴き声が聞こえます.両種は外見が非常に似ていますが,前者は「ルルルルルル...」と鳴き,後者は「フィリー・フィリー」と鳴きます.また,ヌルデの樹上には翅をもつナナフシであるタイワントビナナフシが見られます.
キャンパスでは初記録となるネキトンボを観察することができました.また,陣ヶ平山のため池でオオコオイムシを確認することができました.そのほか角脇調整池周辺の林縁部の獣糞からコブマルエンマコガネを見つけたり,テニスコートの灯りに飛来したホソバスズメを観察したりすることができました.
- 2019.09.13 キャンパス内でミンミンゼミとツクツクボウシが鳴いています.間もなくセミのシーズンも終わりです.秋の虫の鳴き声が聞かれるようになりました.ハラビロカマキリの成虫が見られ,コバネアオイトトンボがキャンパスのため池に集まっています.
8月
- 2019.08.05-09 東広島キャンパスでは様々なバッタ目の成虫が見られます.各地で絶滅が心配されているセグロイナゴや独特な顔のショウリョウバッタ,アシグロツユムシなどを観察することができました.
灯りや樹液にはガが見られます.枯葉に見える翅をもつクチバスズメや,枝に見えるクロツマキシャチホコ,白い帯模様が特徴のシロスジカラスヨトウなどです.また,蛇のような姿をしたベニスズメの幼虫を観察することができました.
東広島キャンパスは夏真っ只中でミンミンゼミも鳴き始めましたが,夜はエンマコオロギやスズムシの鳴き声が聞こえてくるようになり,秋の兆しも感じられます.また,オオカマキリの成虫やツクツクボウシなどを観察することができました.そしてサムライアリがクロヤマアリの巣を襲撃して奴隷狩りをする様子も見られました.
イナズマハエトリやヤマジハエトリなどのハエトリグモやクリチャササグモを観察することができました.
小型のイラガ類の幼虫も観察することができました.いずれもユニークな姿をしていますが棘には毒があるので触らないよう注意が必要です.
- 2019.07.29-08.02 東広島キャンパスでアオダイショウとヒバカリとニホンマムシを観察することができました.アオダイショウとヒバカリはともにナミヘビ科のヘビで,毒はありません.しかしマムシはクサリヘビ科のヘビで,大変危険な毒を持ちます.キャンパスでは主に陸上競技場の周辺の林縁部で見られるため,その周辺を通るときは咬まれないようご注意ください.
夜のキャンパスでは,様々な昆虫の羽化の様子を観察することができます.乾ききっていない半透明の翅はどの昆虫であろうと美しく,神秘性を感じられます.
クマゼミやツクツクボウシも鳴き始めました.クマゼミはアカデミック地区内では少ないですが,交番裏のサクラ並木やキャンパス外周のケヤキ並木で鳴き声を聞くことができます.また,セスジアシナガサシガメというナナフシのような特徴的な見た目をしているカメムシを観察することができました.
樹液ではアオカナブンを観察することができました.カナブンに比べるとキャンパスでの個体数は少ないようです.また,角脇調整池周辺でガムシが見られました.ゲンゴロウに匹敵する大型の水生甲虫です.バッタの多い乾燥した草地では狩りバチのキアシハナダカバチモドキを観察することができました.環境省RDBで絶滅危惧II類に指定されている希少なハチです.
ため池では数多くのトンボが見られます.開けて水生植物の豊かなため池ではギンヤンマやタイワンウチワヤンマを観察することができます.前者は休みなく飛び回っていますが後者は水面に突き出た枝や杭にとまっていることが多いです.また少数ながらアジアイトトンボも見られました.木々に囲まれ日照の悪いため池ではヤブヤンマが見られます.
バッタ目の昆虫も多くが成虫になっています.夜は林縁部でミドリササキリモドキが見られ,ハヤシノウマオイの鳴き声が響き渡ります.昼は限られた草地でクルマバッタの姿が見られます.
アオスジアゲハやジャコウアゲハなどアゲハチョウの仲間も観察することができました.また,アケビコノハの成虫も見られました.
7月
- 2019.07.22-26 東広島キャンパスでは梅雨が明けて,現在キノコがあちらこちらで確認されています.キタマゴタケもその一つで,卵のような白いツボから傘が出てきます.またヤマトヒロバカゲロウや夜間樹上で休息するハンミョウ(ナミハンミョウ)なども観察することができました.
キャンパスでは直翅目の昆虫がたくさん見られます.しかし,ヤブキリは生息域が狭く,農場や池ノ上学生寮周辺など鏡山に近い林縁部でしか見られません.また,カマドウマ類は主にマダラカマドウマ,カマドウマ,モリズミウマの3種が観察されます.
夜の樹液に集まる昆虫は当然ながらカブトムシやクワガタムシなどの甲虫だけではありません.ヤガ科のシタバガ亜科(シロシタバやキシタバなど)やオオトモエなども集まります.また,灯火にはセダカシャチホコやモンクロシャチホコも見られます.コシロシタバは環境省RDBで準絶滅危惧種に指定されています.
また,キャンパスの各所でイラガの仲間の幼虫が見られます.距離を置いて観察する分には危険ではありませんが,作業中や木の下をくぐり抜ける際に誤ってこれらのケムシに触れると毒針が刺ってしまい激しい痛みを伴いますのでご注意ください.また,トゲに触れるとビリビリと痛みを感じることから「デンキムシ」という地方名が存在します.
夜は夜行性のクモが営巣する姿が見られます.トリノフンダマシ類は特殊な水平円網を張り,オニグモは垂直円網を張ります.
その他観察することができた雑木林の昆虫を紹介します.
- 2019.07.15-17 東広島キャンパスでヒグラシを観察することができました.生態実験園などの林内に入ると驚いて飛んで逃げることが多いです.また,ニイニイゼミとアブラゼミの羽化を観察することができました.
東広島キャンパスでトゲグモ,タカネトンボ,コオイムシを観察することができました.トゲグモは腹部が硬質でドクロのような模様があることが特徴です.タカネトンボは陣が平山の林縁部でゆったりと飛翔していました.コオイムシは角脇調整池で見られ,生態実験園などに多いオオコオイムシとは生息場所を異にしているようです.
オオモンクロクモバチが狩ったコアシダカグモを運ぶ様子や,休むキイロスズメバチ,カバキコマチグモの産室などを観察することができました.キイロスズメバチは攻撃性が高く,ときに人にも危害を及ぼす恐れがあります.またカバキコマチグモは強い毒をもつと言われていますが,無理やり産室をこじ開けたり,成体をむやみに掴んだりしなければ基本的に安全です. その他様々な甲虫を観察することができました.
バッタ目の昆虫も昼夜問わず多数観察することができました.マダラバッタは乾燥した草地に,ヒメギスは草深い藪に多いです.
その他クロバネツリアブやスズメガ類の幼虫が見られました.
- 2019.07.11-12 東広島キャンパスでアブラゼミが発生しています.また,シュレーゲルアオガエルがふれあいビオトープや生態実験園で上陸しています.コナラやアベマキの生える林内ではアイタケが見られます.
キャンパスではトリノフンダマシ類も多く観察することができます.昼は植物の葉裏で休んでいますが,日没とともに巣を張りはじめます.
キャンパスの南部ではコロギスとタンボコオロギを観察することができました.また,ふれあいビオトープの林縁ではササキリの初齢幼虫を観察することができました.
キャンパスで見られた個性的なイモムシを紹介します.
その他見られた生き物を紹介します.
キャンパスでコシアカツバメやツバメが飛んでいます.また,変態したニホンアマガエルも観察することができます.
雑木林ではシロスジカミキリが見られます.また,キャンパスの材置き場ではカミキリムシやタマムシの仲間など様々な甲虫類を観察することができます.
キャンパス中のため池でチョウトンボが舞っていたり,ウチワヤンマが縄張りを張っていたりしています.また,南方系のナナフシであるタイワントビナナフシの幼虫を観察することができました.
昼行性のガであるスキバホウジャクや,その他の夜行性のガやイモムシなどを観察することができました.
狩りバチや寄生バチ,スズメバチの仲間も観察することができました.
キャンパスでは,鹿児島以南の島々に分布するオオスミコガネグモや南西諸島に分布するナガマルコガネグモを除けば,日本産コガネグモ属の全種を観察することができます.
6月
夜のキャンパスではシンジュサンが灯りに飛来することがあります.また,オオウラギンスジヒョウモンはアザミで吸蜜する姿が,ウラナミアカシジミが各所のアベマキやクヌギの若木の周りで見られます.
キャンパスではヤマカガシをはじめとした毒のある生き物も見られます.観察する場合はむやみに触る,刺激するなどしないようご注意ください.
また,キリギリスの仲間が発生しています.今週はホシササキリとキリギリス(ニシキリギリス)を観察することができました.
キャンパスではヤンマの黄昏飛翔を観察することができます.また,生態実験園の水田ではオオシオカラトンボの産卵も見られます.
その他トゲアリやハエトリグモ,カミキリムシ,ウシカメムシ,スジアオゴミムシなどを観察することができました.
- 2019.06.17-21 夜のキャンパスの生き物の様子を紹介します.山中谷川や角脇川ではゲンジボタルが見頃を迎えています.またクワガタムシなど樹液に集まる虫も活発になっています.
山中谷川ではホタルだけではなく,5種類以上と多くのアメンボを観察することができます.今回はその一部を紹介します.
キャンパス内の水辺ではいつも様々なトンボを観察することができます.今回紹介しているアオヤンマ,グンバイトンボ,ベニイトトンボはいずれも環境省のレッドデータブックにて準絶滅危惧種に指定されています.
チョウも多くの種類を観察することができます.オオヒカゲは発生が進んでおり,ふれあいビオトープでも確認することができます.
ガも多数観察することができました.ヤホシホソマダラは環境省のレッドデータブックにて準絶滅危惧種に指定されています.
中~大型のコガネムシも観察することができます.いずれも様々な広葉樹の葉を食べます.
その他見られた生き物を紹介します.
- 2019.06.10-14 キャンパスでハラグロオオテントウが羽化しています.ハラグロオオテントウは大型のテントウムシで,名前の通り腹面が黒いことが特徴です.また,山中谷川や角脇川でゲンジボタルが飛んでいます.その他ノコギリカミキリやコガネムシ,キマワリなど,様々な甲虫を観察することができます.
キャンパス内でクロアナバチやサトジガバチといった狩りバチやヒメスズメバチなど様々なハチが見られます.オオスズメバチやキイロスズメバチといった攻撃性の高い種も見られるので刺激しないよう注意が必要です.
色々な昆虫の幼虫を観察することができました.スゲドクガの幼虫は環境省RDBで準絶滅危惧種に指定されています.
生態実験園やぶどう池でコシアキトンボが飛んでいます.また,未成熟のアオイトトンボもキャンパス各所で見られます.アブの仲間ではムシヒキアブ科のシオヤアブも発生しています.
キャンパスではシャクガ類をはじめとした蛾の仲間を観察することができます.
その他アリグモやオナガグモといった独特なクモ類を観察することができました.
- 2019.06.03-07 ふれあいビオトープ周辺でグンバイトンボとイボテングタケを,生態実験園でクロアナバチを観察することができました.グンバイトンボは県のRDBで準絶滅危惧種に指定されており,河川や水路の改修で減少しています.オスは白い軍配状の脚が大変目を引きます.
東広島植物園でサトキマダラヒカゲとヒオドシチョウを,生態実験園でキアシドクガとオビガの幼虫を,ふれあいビオトープでキスジホソマダラとマツカレハを観察することができました.キアシドクガはときに大発生するガで,名前にドクガとつきますが一生を通して毒を持ちません.またマツカレハは毒針をもつケムシで,同じく毒を持つタケカレハの幼虫とともにふれあいビオトープに多いので観察には十分ご注意ください.
山中池周辺でキュウシュウクロナガオサムシを,生態実験園でセンチコガネとオジロアシナガゾウムシ,ヤマクダマキモドキ,ニシムネアカオオアリを観察することができました.オジロアシナガゾウムシはパンダのような模様をしており,クズの茎などに多いです.
生態実験園でチャイロアサヒハエトリ,ふれあいビオトープでヤマシロオニグモ,山中池周辺でサワガニ,東広島植物園でトビズムカデを観察することができました.サワガニはキャンパスでは山中谷川に多いですが,ふれあいビオトープを流れる湧水でも見つかることがあります.また,トビズムカデは10cmを超える巨体で,少し触れただけでも咬みつこうとする上に毒を持つのでご注意ください.
5月
- 2019.05.30-31 ふれあいビオトープでサラサヤンマとモノサシトンボを,生態実験園でアサヒナカワトンボを観察することができました.サラサヤンマとモノサシトンボはともにキャンパス内に広く分布しています.
ふれあいビオトープでヒメジャノメ,ヒカゲチョウ,オオヒカゲを観察することができました.いずれも成虫は眼状紋(目玉模様)をもつチョウです.ヒカゲチョウは先週紹介したクロヒカゲに酷似していますが,全体的に明るい色をしています.
生態実験園でラクダムシを,ふれあいビオトープでヤマトクサカゲロウとヒメクロゴキブリを観察することができました.クサカゲロウの仲間は頭部の模様で識別をすることができます.
生態実験園でマイマイカブリとヨツボシゴミムシ,コガシラアオゴミムシを観察することができました.ゴミムシの仲間は地表をせわしなく動き回っています. またふれあいビオトープ付近でアオハナムグリとオバボタル,ゴボウゾウムシ,ハスジカツオゾウムシを,生態実験園でヤナギハムシとハラグロオオテントウを観察することができました.オバボタルは成虫が光らないホタルで,幼虫は陸生です.
植物園でコガタノミズアブを,ふれあいビオトープでミスジガガンボ,チュウガタコガネグモを観察することができました.コガタノミズアブの幼虫は水棲であるため,水田や湿地の周辺で見られます.
- 2019.05.21-24 生態実験園でシュレーゲルアオガエルの抱接を,陣ヶ平山周辺でナキイナゴを観察することができました.ナキイナゴはバッタ類の中では出現が早く,6月頃から見られます.丈の長いススキなどが生えた草原で「シャカシャカ」と音を立てて鳴きます.
植物園でクロスジギンヤンマ,ヨツボシトンボ,ショウジョウトンボを観察することができました.これら3種のトンボは激しく縄張り争いを行っている様子でした.
同じく植物園でアカサシガメ,シマサシガメ,アカスジキンカメムシを観察することができました.サシガメ類は肉食で他の昆虫の体液を吸いますが,アカスジキンカメムシは植物の汁を吸います.
クロオオアリ及びムネアカオオアリの結婚飛行が始まろうとしています.キャンパスの至る所で翅をつけた女王アリや,巣の周りで待機する雄アリのようすを観察することができました. また,ふれあいビオトープでオオイシアブとチャイロオオイシアブを観察することができました.この2種は酷似しているため,識別が少し難しいです.
発見の小径でアサマイチモンジとクロヒカゲとキンモンガを,植物園でベニオビヒゲナガを観察することができました.ヒゲナガガ類はオスの触角が非常に細長いのが特徴で,キャンパスではほかにシロオビヒゲナガやクロハネシロヒゲナガなどを観察することができます. イモムシではアケビコノハやホタルガ,シロシタホタルガを観察することができました.ホタルガとシロシタホタルガはともに刺激されると有毒な分泌液を出すので,観察にはご注意ください.
生態実験園でウバタマムシとヒメイトアメンボとヤマトシリアゲを,植物園でカタオカハエトリとヒトリコゲチャハエトリとキアシナガバチを観察することができました.ヤマトシリアゲはキャンパスで最も普通に見られるシリアゲムシ類で,オスの腹部の先端は鋏状になっておりオス同士での争いやメスとの交尾に用いられます.カタオカハエトリの旧称はカキイロハエトリで,その名の通りオスは第1脚が鮮やかな柿色をしていますが,今回紹介しているメスは地味な体色です.
- 2019.05.10-17 教育学部棟周辺でイソヒヨドリ,生態実験園でニホンアカガエルの幼体とシュレーゲルアオガエルのオタマジャクシ,ふれあいビオトープでシュレーゲルアオガエルの成体.理学部棟周辺でニホンヤモリを観察することができました.
ふれあいビオトープでムカシヤンマとタベサナエとフタスジサナエ,山中池でオオヤマトンボとクロイトトンボ,植物園でヤマサナエを観察することができました.ムカシヤンマは県の,フタスジサナエは国のRDBで準絶滅危惧種に指定されています.
学生プラザ付近でウンモンスズメ、生態実験園でダイミョウセセリとヒメウラナミジャノメ,山中池周辺でイボタガ,ふれあいビオトープでヒオドシチョウとルリイロスカシクロバを観察することができました.
生態実験園でエゴツルクビオトシブミとヒメクロオトシブミとカシルリオトシブミを,キャンパス北部でシロオビナカボソタマムシとアカガネサルハムシを,ががら山でニワハンミョウを観察することができました.
ががら山でトビイロツノゼミ,キャンパス北部でウシカメムシ,ふれあいビオトープでハルゼミの抜け殻を観察することができました. また,生態実験園でメガネアサヒハエトリ,工学部棟周辺でチャイロアサヒハエトリを観察することができました.
- 2019.05.07-10 キャンパス内でキバネツノトンボ,植物園でアカスジキンカメムシ,キャンパス南部でトサハエトリを観察することができました.キバネツノトンボは広島県のRDBで準絶滅危惧種に指定されている昆虫です.
キャンパス内でニホンイシガメ,生態実験園でクロスジギンヤンマ,ヨツボシトンボを観察することができました.ほかにもヤマサナエやクロイトトンボなど,各種トンボが続々と羽化しています.
キャンパス南部でカバキコマチグモ,オオイシアブ,ウバタマコメツキを観察することができました.カバキコマチグモはキャンパスでは特に南部に多く,毒を持つクモです.ススキの葉の先がちまき状に巻かれているのは本種の産室であるため,不用意に触れたり開けたりしないよう十分にご注意ください.
4月
- 2019.04.20-26 キャンパス内でハルゼミが鳴いています.高所で鳴くことが多いため,姿を確認することが難しいです.
植物園でアオオビハエトリとアダンソンハエトリ,シラホシコゲチャハエトリを観察することができました.アダンソンハエトリは屋内でよく見られるハエトリグモで,アオオビハエトリやシラホシコゲチャハエトリも垣根や植木鉢の上でよく見られるため,いずれも身近な存在です.
植物園でニッポンヒゲナガハナバチ,ぶどう池横のドウダンツツジでコマルハナバチとオオスズメバチを観察することができました.
陣ヶ平山周辺でオスクロハエトリ,ニホンジネズミ(ジネズミ),アオゲラを観察することができました.ニホンジネズミは東広島キャンパスの哺乳類相調査でも確認されています.
ふれあいビオトープでシュレーゲルアオガエルとクビキリギスとヤサアリグモを観察することができました.シュレーゲルアオガエルとクビキリギスは夜のふれあいビオトープで鳴く姿が観察できます.
ふれあいビオトープでセモンジンガサハムシ,生態実験園でイチモンジカメノコハムシ,植物園でバラルリツツハムシを観察することができました.セモンジンガサハムシとイチモンジカメノコハムシは非常によく似ていますが,食樹や体の大きさ,模様などが異なります.
陣ヶ平山でシオヤトンボ,角脇調整池でオツネントンボ,生態実験園でアサヒナカワトンボを観察することができました.ヤマサナエやクロスジギンヤンマの発生も確認しています.
植物園でニホンミツバチとセグロアシナガバチを,ぶどう池でキムネクマバチ(クマバチ)を観察することができました.4月になると藤の花の周りや林縁部でクマバチのオスがホバリングをする姿がよく観察されますが,羽音が大きいだけで人を刺すことはありませんのでご安心ください.
植物園でナガメ,生態実験園でイカリモンガ,ぶどう池周辺でタベサナエ,ナミハナムグリ,シマヘビ,クロセンブリ,生物生産学部農場でナミテントウ,シラヒゲハエトリ,オオハサミムシを観察することができました.
- 2019.04.6-12 4月になり,クモや昆虫の活動が活発になってきました.ふれあいビオトープでオオハエトリとマダラスジハエトリ,生態実験園でアオオビハエトリを観察することができました.オオハエトリとマダラスジハエトリは針葉樹林を好むため,アカマツの多い東広島キャンパスでは比較的よく見られます.
また,陣ヶ平山でイボタガと,ツチイナゴ,植物園周辺でエゾヨツメを観察することができました.イボタガとエゾヨツメはともに春に見られる代表的な大型蛾で,写真では分かりませんがエゾヨツメの翅表には鮮やかな青い目玉模様があります.
発見の小径ではイタドリハムシやツマキチョウ,ビロードツリアブ,ニホンカナヘビ,ホソミオツネントンボ,ミズカマキリ,メミズムシなどを観察することができました.
3月
- 2019.03.27 生態実験園やふれあいビオトープでシュレーゲルアオガエルが鳴き始めました.オスはあぜの土の中に穴を掘り,鳴き声でメスを呼びます.白い泡に包まれた卵塊を土の中に産み付けます.鳴き声はよく響き聞こえますが,姿を見るのは難しいカエルです.広島県版のシュレーゲルアオガエルの解説ページはこちら.
- 2019.03.01 メジロがウメやカワヅザクラ(河津桜),アセビなど様々な花の蜜を吸っている様子が観察できました.
- 2019.03.01 ニホンアカガエルの幼生(オタマジャクシ)が泳ぎ始めました.また,今年もニホンヒキガエルの卵塊が確認でき繁殖していることが分かりました.カスミサンショウウオは,卵のうの中で泳ぎ始めました.このカスミサンショウウオですが,先日出た論文で分類の再検討がなされ,9種に分かれました.東広島市のものは「アキサンショウウオ」とされ,東広島キャンパスのものもアキサンショウウオに相当します.
2月
- 2019.02.15-22 ニホンアカガエルのふ化が始まっています.カスミサンショウウオの卵も発生が進んで尾芽胚と呼ばれる段階になっています.また,山中池でオオバンが流木に登っており,普段見ることがない脚を観察できました.
- 2019.02.10 キャンパス内のため池でハシビロガモやオシドリ,ホシハジロ,コガモなどの水鳥を観察することができました.ハシビロガモは数匹~数十匹が渦を描くように泳ぐことでプランクトンを渦の中心に集め,それを採食します.
- 2019.02.08-09 毎週金曜日の野鳥調査でツグミなどを観察することができました.翌日にはキャンパス内のため池でトモエガモ,カイツブリなどを観察することができました.また,ニホンジカや各種昆虫,クモ類なども観察することができました.
- 2019.02.03 ニホンアカガエルの産卵とカスミサンショウウオを観察することができました.「東広島キャンパスのニホンアカガエル」のページと「広島県のニホンアカガエル」のページもご覧ください.
- 2019.02.1 ふれあいビオトープでニホンアカガエルの抱接中のペアを観察することができました.「東広島キャンパスのニホンアカガエル」のページと「広島県のニホンアカガエル」のページもご覧ください.
1月
- 2019.01.17-18 今週見られた野鳥を紹介します.ヨシガモやホシハジロ,トモエガモなどの水鳥の他,ハイタカやシメ,ルリビタキ,モズ,ホオジロが観察できました.東広島キャンパスの野鳥については,「東広島キャンパスの鳥類相」のページもご参照ください.
- ガの繭も複数見つけることができました.落葉によって秋まで木陰に隠れていたものが観察しやすくなっています.
- 2019.01.04 明けましておめでとうございます.今年初めの野鳥調査では,2005年10月以来久しぶりにトモエガモのメスが観察できました.また,先週同様メジロがヤマハゼの果実を採食していました.他にツグミやジョウビタキなどの冬鳥も見ることができました.東広島キャンパスの野鳥については,「東広島キャンパスの鳥類相」のページもご参照ください.
過去のニュース
過去のニュースはこちら.
- 2022年の東広島キャンパスの生き物
- 2021年の東広島キャンパスの生き物(下半期)
- 2021年の東広島キャンパスの生き物(上半期)
- 2020年の東広島キャンパスの生き物(下半期)
- 2020年の東広島キャンパスの生き物(上半期)
- 2019年の東広島キャンパスの生き物
- 2018年の東広島キャンパスの生き物
- 2017年の東広島キャンパスの生き物
- 2016年の東広島キャンパスの生き物
関連ページ
- 東広島キャンパスの動植物の最新情報
広島大学 > デジタル自然史博物館 > メインページ > 広島大学の自然 > 東広島キャンパスの動物 > 東広島キャンパスの生き物