ヤマトウミヒルモ

提供: 広島大学デジタル自然史博物館 植物
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ヤマトウミヒルモ Halophila nipponica J.Kuo

Halophila nipponica J.Kuo, Acta Phytotax. Geobot. 57: 141, 2006. Syn. H. japonica Uchimura & Faye, Bull. Natn. Sci. Mus., Tokyo, Ser. B, 32: 131, 2006.

オモダカ目 >トチカガミ科 Hydrocharitaceae マツ科 Pinaceae

解説

砂地の海底に生育する常緑で沈水性の多年生草本.水深数m以内の海底に生育.葉が海中に直立し,茎は砂地に潜り横にはう.茎は細長く白い横走茎になり,軟らかい.茎には節があり,節間は20-35 mm.節から1本のひげ根を出し,透明な鱗片葉を2枚つける.さらに鱗片葉の腋の非常に短い枝を出し,そこから葉を2枚出す.葉は有柄で全縁,黄緑色から緑色.葉柄は細長く白色.葉身の質は薄く,細胞層は1–数層,楕円形で長さ18–25 mm,幅10 mm程度.葉脈は網状にならず,中肋と両縁に脈があり,8–12対の側脈でつながる.側脈はほとんど二叉分枝しない.葉の縁の緑帯は1 mm程度.葉縁の透明細胞は4列程度で細長く,長さ200–350 μm.葉身には気孔はなく,葉身細胞はジグソーパズル状で35–60 μm.雌雄異株で開花は7–8月とされるが,宮島近海の集団では花および果実は未確認.

これまで広島県では未記録であった(広島大学理学部附属宮島自然植物実験所・比婆科学教育振興会 1997)が,2009年に廿日市市宮島近海で生育が確認された(坪田ほか 2009).ウミヒルモH. ovalisに類似するが,ヤマトウミヒルモは葉の縦横比や葉形,葉柄が紫紅色を帯びないこと,葉縁の透明細胞が4層程度,側脈の数が少ないことなどでウミヒルモと区別できる.また,ヤマトウミヒルモは鹿児島県以北に分布するのに対して,ウミヒルモはそれ以南に分布する(Kuo et al. 2006; Uchimura et al. 2006).遺伝的にも,核ITS領域の塩基配列がウミヒルモとは異なる一方,種内変異はほとんど見られない(宮島の配列データはAB523410).

属名のHalophilaは,ギリシャ語のhals(塩)とphilos(好む)に由来.

分布・産地・天然記念物

標本

  • 廿日市市宮島町(HIRO-MY 26001, 26421–26427).

慣用名

広島県方言

備考

  • 環境庁コード:
  • 海草

文献(出典)

  1. 広島大学理学部附属宮島自然植物実験所・比婆科学教育振興会(編). 1997. 広島県植物誌. Pp. 832. 中国新聞社, 広島.
  2. Kuo, J. Kanamoto, Z., Iizumi, H. & Mukai, H. 2006. Geagrasses of the genus Halophila Thouars (Hydrocharitaceae) from Japan. Acta Phytotax. Geobot 57: 129–154.
  3. 坪田博美・久保晴盛・向井誠二. 2009. 広島県宮島近海で見つかったヤマトウミヒルモHalophila nipponica J.Kuoについて. Hikobia 15: 339-347.
  4. Uchimura, M., Faye, E. J., Shimada, S., Ogura, G., Inoue, T. & Nakamura, Y. 2006b. A taxonomic study of the seagrass genus Halophila (Hydrocharitaceae) from Japan: description of a new species Halophila japonica sp. nov. and characterization of H. ovalis using morphological and molecular data. Bull. Natn. Sci. Mus. Tokyo, Ser. B 32: 129–150.