被子植物の分類体系

提供: 広島大学デジタル博物館
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植物の分類体系について-被子植物の分類体系の変遷-

 植物図鑑や植物標本庫では,理解を助けたり管理を容易にしたりするため,一定の順番で植物を並べている.この順番を分類体系とよび,世界で共通のものが使われる.  分類体系は一度作られたら終わりではなく,科学の発展に応じて作り替えられる.被子植物の場合,代表的なものとして3つの異なる分類体系がこれまでに採用されてきた.1つ目は「新エングラー体系」,2つ目は「クロンキスト体系」,3つ目は「APG体系」である.

新エングラー体系

「新エングラー体系」は,ドイツのアドルフ・エングラー博士によって1890年代に発表された分類体系がもとになったもので,その後改訂が加えられて新エングラー体系と呼ばれている.新エングラー体系では,植物の花は単純な構造の花から複雑な構造のものへと進化したという考え方のもとに植物を配列している.この分類体系は,日本の植物図鑑や植物標本庫の配架で長い間採用されていた.

クロンキスト体系

「クロンキスト体系」は,アメリカのアーサー・クロンキスト博士によって1980年に発表されたものである.クロンキスト体系はストロビロイド説にもとづいて植物を配列している.ストロビロイド説は,モクレン科などの花のように,両性花で,花被(花弁(かべん)や萼(がく)),雄(お)しべ,雌(め)しべなどの花を構成する構造が螺旋状(らせんじょう)に並ぶ比較的大きくて複雑な構造の花がもっとも原始的とする考え方である.この分類体系は,日本ではあまり普及しなかったが,海外では広く採用されていた.

APG体系(APG分類体系, APG植物分類体系)

「APG体系」は,Angiosperm Phylogeny Group(略称,APG)という研究者のグループによって1998年に発表されたものである.これまでの分類体系は花などの形態を中心とした情報にもとづいて作られたものであるのに対し,APG体系は20世紀末に発展した分子系統学による情報にもとづいて作られた点が大きく異なる.発表後も数年毎に改訂が行われており,現在第4版となっている.この分類体系は,すでに新しい出版物などで採用されており,今後広く普及すると考えられる.

脚注

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