瓦器

提供: 広島大学デジタル博物館
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瓦器(がき)

  • 暗灰色の軟質の土器で、昭和時代前半期頃まで多く利用されていた灰色の屋根瓦に似ていることからこの名前がある。
  • 窯を用いて生産し、焼成の最終段階で炭素を表面に吸着させるため器面は暗い灰色を呈する。
  • 椀、皿を主体に生産されている。椀や皿は型(内型)を用いて成形し、ある程度乾燥した段階で土器の内側を中心に円礫などで擦って器面を磨いているものが多い。磨いた痕跡は幅5mm程度の細い線状となるが、こうした研磨痕が多数残されることになる。文様的な要素をもつ痕跡であり、これを暗文(あんもん)と呼んでいる。
  • 瓦器は近畿地方西部を中心に鎌倉時代~室町時代前半期に生産され、西日本を中心に流通した。近畿地方ではいくつかの主要な産地があり、産地によって暗文の施され方などが異なり、和泉(いずみ)型、楠葉(くずは)型、近江(おうみ)型、大和(やまと)型、紀伊(きい)型、丹波(たんば)型、伊賀(いが)型がある。産地によって流通範囲が異なるようで、中国地方では和泉型が主として流通しており、広島大学東広島キャンパス内の鏡西谷遺跡でも和泉型の瓦器椀、皿が出土している。