植物観察会/KansatsukaiPageMiniLetter476

提供: 広島大学デジタル自然史博物館 植物
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ヒコビアミニレターNo.476(2017年11月23日)

 2017年11月19日の第600回植物観察会は尾道市栗原町の広島県立びんご運動公園(1/2.5万「三成」左下)で行われた.体育館の建物がある健康スポーツセンター前の広場に10時集合.参加者42名.最初にこの運動公園付近の植生で特に注目すべき点の説明がなされた.まずクロキの在不在に注意すること.クロキは広島県では瀬戸内沿岸部のコジイ林域に分布し,内陸部のカシ林域には見られない.沿岸部と内陸部の境界は温度条件の違いによるもので,藤原道郎氏の研究によると低温の極値-14℃が分布境界線になるらしい.その点ではこの運動公園地域は温暖なシイ林域になるのでクロキは存在してよいのであるが,実際には三原市から西方に分布し,東方の福山市や岡山県の沿岸部には見られない.広島県におけるクロキの東西方向での境界線はこの尾道市付近にあるらしい.逆にウバメガシは東方の島嶼部や沿岸部に分布するので,ウバメガシにも注意して歩くことを目標とした.クロキの東西方向の境界線は年降水量1200 mmを境として岡山県側で降水量が少なくなっている事と関係するかもしれない.集合地点の広場にはアラカシクスノキタブスダジイシラカシなどの植樹があり,ヤブツバキには[[ヒノキバヤドリギが沢山ついていた.イロハモミジが沢山植えられていたが,大きく育っている樹は見られなかった.赤く紅葉した枝が全部南向きの枝であることを観察しながら歩いた.赤い色はアントシアンの色であり,紫外線から葉を守る役割があり,日当たりのよい南向きの葉を保護して有機物の合成量を稼ぐ工夫とみられた.植物観察では,運動公園南方の平木山の山麓部を西回りで一周するコースをとった.その結果,クロキウバメガシも林内には見られなかった.運動公園付近の地質は古生層や砂礫層であり,現存植生はアベマキ群落である.アベマキ群落の識別種であるヤマコウバシノグルミイボタノキケヤキなどがあり,アベマキコナラクリリョウブなどの落葉広葉樹とアラカシネズミモチヒサカキナナメノキクロガネモチなどの常緑広葉樹があり,またアセビソヨゴコバノミツバツツジネズコシダウラジロネジキなどのアカマツ二次林の植物も見られた.アセビソヨゴリョウブウバメガシの生育するところにはあまり存在しないので,当地にウバメガシが見られなかったことは妥当であった.しかし,アセビなどと共存することの多いイヌツゲが見られないことは宮島と共通であり何を意味するのか今のところよくわからなかった.人家近くの溝ののり面にガガイモコイケマガガイモによく似ている希少種)があった.開発から取り残された神社にシラカシシリブカガシクロガネモチサカキエノキなどがあり,シャシャンボの大木(胸高直径29 cm)が見られたのが印象的であった.

(G. Toyohara 記)

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