植物観察会/KansatsukaiPageMiniLetter456

提供: 広島大学デジタル自然史博物館 植物
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ヒコビアミニレター No. 456(2016年5月21日)

 2016年5月15日の第580回植物観察会は庄原市本村町大黒目山(801.6 m)で行われた.大黒目山西方の篠津原にあるフィッシャーリゾートしょうばら手前の広場(海抜高約400 m)に10時集合.参加者41名.最初に今回の観察コースを企画された伊藤之敏氏から現地に関する説明がなされた.大黒目山は花崗岩からなる御神山塊に属し,砂鉄の供給地として知られ,南に連なる権現山の頂上付近には鉄穴流しのための溜池や配水路が残っている.松枯れの倒木で山道は多少歩きづらいところもあったが,健全なアカマツ林が意外に多く見られたように思う.アカマツコナラアベマキクリなどの雑木林が広く見られ,わずかにヒノキ植林も見られた.アセビソヨゴコバノミツバツツジネジキナツハゼネズイヌツゲなどのアカマツ二次林の植物が多くみられ,ウワミズザクラウラジロノキリョウブサワフタギヤマボウシツクバネウツギバイカツツジアカシデアオハダダンコウバイコシアブラウリカエデツノハシバミカマツカなどの落葉広葉樹が見られた.常緑広葉樹はヒサカキの他は少なく,海抜400 mのところでシラカシがわずかに1本見られたのみであった.特筆すべきこととして,440 mのところの小湿地の周りにコシダウラジロが僅かに見られたこと,ミズナラの稚樹が450 m以上のところにかなりの頻度で見られたこと,600 m以上のところにダイセンミツバツツジコバノミツバツツジと混在していること,750 m以上のところにホツツジタムシバタカノツメがあり,イヌブナが数本見られたことなどである.最も特筆すべきは,700 m以上のところは緩やかな傾斜の稜線となっているが,710 m付近の尾根筋浅土地にゲンカイツツジがかなり多く出現することである.胸高直径30 mから40 mのアカマツ二次林で,ナツハゼヒサカキスノキネズミヤマウズラマルバアオダモアセビネジキなどの生育するアカマツ二次林であり,当面は保護管理上の問題はないが,長年月放置すると上木が茂りすぎる可能性があるので,ゲンカイツツジは枯死する恐れがあり,要注意である.ゲンカイツツジは韓半島(朝鮮半島)ではどこにでも見られるツツジであるが,日本においては西日本の限られたところだけにわずかに生育するのみで,最もよく生育できるのはアカマツ自然林(アカマツ―ハナゴケ群団のアカマツ―シノブ群集)であり,露岩地の植生である.大黒目山について述べた文書の説明では,山頂からの眺望は抜群であり,昔はここで“のろし”を上げていたとのことであったが,現在は残念ながら立木が茂ってほとんど景色が見えなかった.少しは立木を切って整備し,“のろし”を上げるようなイベントがあってもよいのではないかと感じた.

(G. Toyohara 記)

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