植物観察会/KansatsukaiPageMiniLetter442

提供: 広島大学デジタル自然史博物館 植物
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ヒコビアミニレターNo. 442(2015年6月9日)

 2015年5月17日の第566回植物観察会は安芸太田町の三段峡で行われた.集合場所の餅ノ木駐車場は広く,三段峡の上流部に手軽に入れる.晴天で,参加者42名,10時から歩き始めるが,明るい林縁部に開花中の植物が多く,渓谷に入るまでに30分以上かかってしまった.何か煙が出ているとの声に目を凝らすと,ヒメコウゾの雄花序から飛ぶ花粉,球形の雌花序には細毛が密生した細い花柱があり,風媒花の仕組みが良く解る.コバノガマズミツリバナサルトリイバラタチシオデコマユミが開花,ウリハダカエデマタタビは葉を展開しているが花はまだ.スギ林内に入るとコケイランの花ざかり,チャルメルソウは果実になっていた.渓谷に入ると,斜面下部に堆積した崩土上にヤグルマソウが目立ち,コイカリソウは果実,渓畔のトチノキリョウメンシダは定番.大きな葉を展開したウスゲクロモジの下にはムラサキマユミサワフタギは咲き始め,ハナイカダには雌花が多い,ヤマアジサイウリノキはつぼみ,エンレイソウは果実が膨らんでいる.ハスノハイチゴが特徴のある葉を広げ,もう少しで開花.足元にサワハコベタニギキョウの白い花,岩の上にオオイワカガミの新葉と淡紅色の花,ウスギヨウラクも咲いている.対岸の渓畔にキシツツジの花,岩上はヒメレンゲが満開で黄一色.路傍にはナツトウダイの奇妙な花と果実,ミズタビラコの花.葉が一枚で特徴のある仏炎苞を持ったオモゴウテンナンショウが点在,1939年に記載された珍種アキテンナンショウとして知られていたが,1932年記載の愛媛県面河渓産と同種であることが判明,異名となった.やや乾いた場所にはオトコヨウゾメヤブニンジンホガエリガヤの花,ミヤマニガイチゴコゴメウツギにつぼみが見られた.三段滝展望台への到着が12時を過ぎたので,ここで昼食,往路を引き返す.本日のコースは標高600—650 mで基本的にはウラジロガシ林の領域であるがイヌブナが多い,崩積地にはトチノキサワグルミ,岩石地にはケヤキが多い.また,多雪地に適応した変種のアシュウスギチャボガヤハイイヌツゲが多いことも特徴である.

(H. Taoda記)

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