東広島キャンパスから出土した遺物/鴻の巣遺跡

提供: 広島大学デジタル博物館
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旧石器時代

出土石器群

第1ブロック群では、5基の石器ブロックが発見され、ナイフ形石器(写真中段左2点)、台形様石器(だいけいようせっき、写真上段右から2番目の1点と中段中央の4点)、尖頭器(せんとうき、写真上段左)、局部磨製石斧(きょぶませいせいきふ)、錐状石器(写真上段中央)などが出土しました。このブロック群では小型の石器を主体としています。石器に使用した石材は、安山岩(あんざんがん)流紋岩(りゅうもんがん)、水晶(すいしょう)などです。安山岩は遺跡から約50km離れた冠山産安山岩と考えられますが、大半の石材は地元産と考えられます。このブロック群では特に水晶をさかんに利用しています。 第2ブロック群では3基の石器ブロックが発見されました。安山岩を主に利用した石器群が出土しています。

局部磨製石斧(きょくぶませいせきふ)

第1ブロック群の第5石器ブロックから出土しました。扁平な円礫を縦に半分に割って石器の素材(材料)を用意しています。素材の周囲を荒く打ち欠いて全体の形を作り出していますが、比較的簡単な加工なので両面に素材の面が広く残されており、裏面(写真右側)はほとんど礫面のまま残されています。最後の仕上げとして刃部(写真の下の部分)を中心に部分的に研磨しています。長さ18.6cm、幅7.6cm、厚さ3.4cmの大きさで、重さは約570gあります。この時期のものとしては大型の部類に入ります。

縄文時代

調査区西南部の縄文土器

縄文時代の遺物は、調査区西南部、中央部、東部の各地区で出土していますが、調査区中央部、東部は石器のみです。調査区西南部では早期中頃(約8000年前)回転押型文土器(かいてんおしがたもんどき、写真左列下段)、無文土器(むもんどき、写真中央・右列)などが出土しました。回転楕円押し型文土器は土器の表面に米粒のような小粒の楕円文が連続して施されています。写真左列上段の土器は、発掘調査の際に表面が剥がれて文様が不鮮明になっています。条痕文土器(じょうこんもんどき)かもしれません。このほかに、調査区東部では試掘調査で後期の縄文土器が出土しています。

縄文時代の石器

縄文時代の石器は調査区の全域に分布していますが、調査区西南部および中央部の埋没谷頭付近を中心として出土しています。調査区西南部と中央部では出土石鏃(せきぞく)の形態の組み合わせが多少異なっていますが、基本的には同じ時期に属するものと思われます。出土の石器は、石鏃(上2段、左半下2段のうちの上段および下段左)を主体として、楔形石器(くさびがたせっき、左半最下段右)、石核(せっかく、右半下段)などがあります。石鏃は抉りが深い形態と抉りが浅い、あるいは抉りがない形態がありますが、抉りの深い形態が主体です。利用石材はほとんどが安山岩(あんざんがん)で、姫島産黒曜石(ひめしまさんこくようせき)がわずかに認められます。安山岩は広島県冠山産安山岩と香川県金山産安山岩(サヌカイト)が利用されているようです。

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