春の七草

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春の七草 Seven spring flowers (Nanakusa: seven edible wild herbs of spring)

広島県廿日市市宮島口 Miyajima-guchi, Hatsukaichi-shi, Hiroshima, SW Japan(撮影: 坪田博美.December 10, 2016)
コハコベ(広島県東広島市鏡山; 撮影: 池田誠慈, Feb. 10, 2017)

解説

  • 倉時代の河海抄などで「芹(せり),なづな(なずな),御形(おぎょう),はくべら,仏座(ほとけのざ),すずな,すずしろ,これぞ春の七草」として詠われる植物.一般的には,「御形」は「おぎょう(ごぎょう)」,「はくべら」は「はこべら」と呼ばれる.秋の七草が鑑賞を目的としたものであるのに対して,春の七草は食用になる種があげられている.
  • 春の七草を現在の呼び名にすると,「芹」はセリ,「なづな」はナズナ,「御形」はハハコグサ,「はくべら」はコハコベ,「仏座」はシソ科のホトケノザ Lamium amplexicaule L.ではなくキク科のコオニタビラコ,「すずな」はカブ,「すずしろ」はダイコンを指す.
  • 野菜のカブとダイコン以外は,いずれも春の水田雑草として見られるもので,もともとは旧暦の1月7日に七草粥として食べ,邪気を払い,無病息災を祈るものであった.いくつかの種は,農耕文化とともに中国から渡来した史前帰化植物と考えられる.
  • 本来は耕作地の周辺などで生育する植物であるため,旧暦の当該月に見られるものが多い.近年,栽培されたものが販売されるようになり,本来の生育時期よりも早く入手できるようになっている.

春の七草

せり(セリ)
古名: せり,漢字: 芹,現代名: セリ Oenanthe javanica (Blume) DC.(セリ科 Apiaceae)
なずな(ナズナ)
古名: なずな,漢字: 薺,現代名: ナズナ Capsella bursa-pastoris (L.) Medik.(アブラナ科 Brassicaceae)
おぎょう(ごぎょう,ハハコグサ)
古名: おぎょう,漢字: 御行,現代名: ハハコグサ Pseudognaphalium affine (D.Don) Anderb.(キク科 Asteraceae)
はこべら(ハコベ)
古名: はこべら,漢字: 繁縷,現代名: ハコベ(コハコベ Stellaria media (L.) Vill.ミドリハコベ Stellaria neglecta Weihe)(ナデシコ科 Caryophyllaceae)
ほとけのざ(コオニタビラコ)
古名: ほとけのざ,漢字: 仏の座,現代名: コオニタビラコ Lapsanastrum apogonoides (Maxim.) J.H.Pak & K.Bremer(キク科 Asteraceae).シソ科 Lamiaceaeのホトケノザ Lamium amplexicaule L.とは異なる.
すずな
古名: すずな,漢字: 蕪,現代名: カブ Brassica rapa L. var. rapa(アブラナ科 Brassicaceae)
すずしろ
古名: すずしろ,漢字: 大根,現代名: ダイコン Raphanus sativus L. var. hortensis Backer(アブラナ科 Brassicaceae)

分類体系順

Brassicaceae アブラナ科

Caryophyllaceae ナデシコ科

Asteraceae キク科

Apiaceae セリ科

春の七草に関する歌

「せり・なずな・おぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろ・これや七草」

七草を刻む時に歌う歌

「ななくさ なずな 唐土の鳥が 日本の土地へ 渡らぬ 先に ストトン ストトン」

歌の解説
現在,鳥インフルエンザが問題になっているが,これは中国大陸からの渡り鳥による伝染病である.昔の人は,「唐土」(中国大陸)から渡ってくる鳥が悪いものをもたらすことを,既に知っていた.昔の人の知恵には敬服の至りである.

慣用名

備考

文献(出典)


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