トビケラ目

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トビケラ目 Trichoptera

(tricho-毛のある -pteraはね 英名:Caddisfly)

トビケラとは

トビケラの仲間は世界に約1万種,日本でも300種以上はいると言われていますが,まだまだ研究の必要性が沢山あるグループです.

個性豊かな巣の数々

カゲロウは体型によって様々な環境に適応していると述べましたが,トビケラは小さな差はあってもどれも似ていて,いわゆるイモムシ型をしています.そのかわり,巣の作りかたや行動でいろんな場所に適応しています.これらは大きく3つのグループに分けることができます.

1. 石の上に砂や植物と使った固着巣(動かせない巣)をつくり,網を張って流れてくるエサをろ過して食べる(造網型).

2. 砂粒や落葉などを使って持ち運びのできる巣を作る(携巣型).

3. 全く巣を作らず,丈夫な肢と肢の爪でしっかりと石にしがみつくもの(匍匐型,ほふく型).

造網型と匍匐型は流れの比較的速い場所,携巣型は流れのゆるやかな場所や湖などの流れのないところに主に住んでいます.

この中で携巣型のトビケラは,巣の材料や形がそれぞれの種類によって異なり,どれも個性的です.そのため巣を見ただけでどの仲間のものかわかるので,トビケラの名前を調べる時の重要な手がかりになります.まるで,作品を見ただけでその作者がわかる,芸術家のようです.

厄介者

「電気を喰って成長する水生昆虫がいる?」というとちょっと大げさですが,確かにある理由から厄介者扱いされている川虫の仲間がいるのです.発電には色々な方法がありますが,水の持つエネルギーを利用して電気を起こす水力発電に関わる話です.

発電に使う水を流す水路に上の造網型トビケラ(ウルマーシマトビケラなど)が沢山巣を作り,水の通りを悪くしてしまうために,発電の効率が悪くなってしまうのです.

各地でいろんな対策が考えられているようですが,現在でも決定的な解決方法は見つかっていないようです.ですから,直接電気を食べているわけではありませんが,「発電害虫」と厄介者呼ばわりされてしまうのです.

トビケラの成虫

トビケラの成虫は一見するとガの成虫にそっくりです.体型は正面から見ると三角のテントのような形をしています.色は地味な茶色や黒がほとんどで,大した模様もありません.しかし中には後翅が見事な紫色をしたムラサキトビケラのようにチョウ顔負けの美しいトビケラもいます.

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