お知らせ/20180917日本植物学会公開講演会

提供: 広島大学デジタル博物館
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日本植物学会公開講演会

  • 多数のご参加ありがとうございました.無事終了いたしました.(2018.09.17)


公開講演会 2018年9月17日(祝) 10:00~12:00 会場: 広島県廿日市市宮島町779-2 宮島学園(宮島小中学校)体育館

  • 公開シンポジウム「共生を超えて―「神の島」宮島の自然と歴史―」を企画しています。日本植物学会会員以外の方も参加無料です。会場は宮島桟橋から左方向へ出て徒歩5分です。予約・申込は不要ですので、当日会場に直接お越しください。宮島の植物の他、それにかかわる島の生活、文化、歴史などに関するシンポジウムになります。


公開講演会

大会会長あいさつ

 山が多い島国の日本でも、手つかずの自然が残されている地域はほんのわずかです。現在目にする緑の山も、スギやヒノキなどの植林地、里山として利用されてきた雑木林やそれらを放棄した林など、何らかの人の手が入ったものです。原生林と呼ばれるような森は、人が入り込めないような急峻な山奥や無人島などでわずかに残されています。しかし、人の生活圏内でも、原生林に近い状態の自然林を見ることができます。たとえば、社寺林あるいは鎮守の森(杜)と呼ばれる森が、神社を取り囲むように存在しています。

 宮島の森も、社寺林のように扱われてきました。平安時代末期の1168年に平清盛が社殿を造営して以来、島のほぼ全域が神域として保護され、瀬戸内海の島に見られる本来の植生が奇跡的に残されてきました。1913年に宮島を訪れたドイツの植物学者のアドルフ・エングラー博士は、弥山に登山した際に,現地で植物を見て感激し,「私は,できるならば一生ここに住んで,ここで死にたい」と言ったと伝えられています。それほどに、宮島の植物は植物学的に見ても素晴らしいものです。

 エングラー博士の発言がきっかけとなり、弥山の森は1929年に国の天然記念物「弥山原始林」に指定されました。また、1996年には厳島神社と弥山原始林を含む431.2 haの森林が世界文化遺産として登録され、その遺産を保護するために宮島全島が緩衝地帯に指定されています。さらに、2012年には海岸の一部がラムサール条約に登録されました。

 現在のすばらしい宮島の植生が成立するためには、島の気候、地形、地質などのほかにも、厳島神社をはじめとする多くの神社仏閣が関わる歴史や民俗が大きくかかわっています。また、ニホンジカ、ニホンザル、タヌキやイノシシなどの野生動物も島の植生に大きな影響を与えています。宮島の母岩となっている花崗岩は風化しやすく、大雨のときには土石流が発生し、島の植生を大きく損なうことがあります。

 今回のシンポジウムでは、宮島の自然、歴史、文化、防災について、4名の講師がわかりやすく解説します。講演後には、島の自然と歴史を巡るエクスカーションも企画しています。皆様のご来場を心からお待ちしております。

日本植物学会第82回大会 大会会長 広島大学大学院理学研究科生物科学専攻教授 宮島自然植物実験所所長 山口富美夫

講演会プログラム

  • 「日本植物学会会長の御挨拶」(仮):三村 徹郎 (神戸大学理学研究科教授・日本植物学会会長)
  • はじめに(仮):山口 富美夫(広島大学理学研究科教授・第82回日本植物学会大会会長)
  • 「日本の縮図としての宮島の生態系」:関 太郎 (広島大学名誉教授)
  • 「シカの棲む島、宮島の森林植生の特殊性」:奥田 敏統(広島大学大学院総合科学研究科)
  • 「歴史資料にみる宮島の自然」:本多 博之(広島大学大学院文学研究科)
  • 「宮島の土砂災害と紅葉谷川庭園砂防」:海堀 正博(広島大学大学院総合科学研究科)

エクスカーション

2018年9月17日(祝) 14:00~16:00 複数コース(集合場所等,追って詳細お伝えします宮島学園グランド集合です.)

講演会終了後,宮島島内でエクスカーションを予定しています。講演会で議論した宮島の自然に直接触れる機会を設けます。講演会の内容に関連した場所を案内いたします。 -> 14:00に宮島学園集合です.エクスカーションだけの参加も可能です.

  • 植物観察コース:関 太郎 (広島大学名誉教授)
  • 砂防観察コース:海堀 正博(広島大学大学院総合科学研究科)

協賛・後援

  • 宮島学園PTA
  • 宮島弥山をまもる会
  • 三分一博志建築設計事務所
  • 一般社団法人 宮島ネイチャー構想推進協議会
  • 広島大学大学院理学研究科附属 宮島自然植物実験所
  • 広島大学大学院文学研究科附属 内海文化研究施設
  • 広島県教育委員会

協力

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